神が望めば−ウズベキスタンの温かい人たちと共に−

Twitter Facebook はてなブックマーク メール

私は、青年海外協力隊員としてウズベキスタンに派遣されています。職種は幼児教育で、ウズベキスタンの東の端にあるリシタンという小さな町の幼稚園で活動しています。中央アジアにあるウズベキスタンは、2015年9月1日に旧ソ連から独立して24周年を迎えた、旧ソ連の色を濃く残している国です。

世界に二ヵ国しかない二重内陸国(注)で、内陸ならではの酷暑期と極寒期を体感することができます。酷暑期は50度を超えることもあり、極寒期は氷点下20度にもなります。過酷な環境の中でウズベキスタンの人たちはどんな暮らしをしているのでしょうか。

首都タシケントは、途上国とは思えぬほど美しく整備され地下鉄が走っている一方で、地方はインフラも不安定で厳しい環境です。しかし、人々は明るく、外国人である私にもとても親切にしてくれます。歌や踊りが大好きで、結婚式はダンスパーティーのようです。外国人のことは「меҳмон(メフモン、ウズベク語でお客さんの意味)」と呼び、盛大にもてなしてくれます。あいさつはとても丁寧で、スキンシップも図りながら「調子はどう?」と毎日聞いてくれます。バスに乗ると、驚くことにお年寄りに席を譲るスピードは「反射的」なレベルです。

また、季節ごとに新鮮な果物や野菜を食べ、冬のために保存食を作り、大家族で暮らすことが当たり前です。水は地下水をくまなければならず、洗濯機もないため洗濯も掃除も時間がかかり大変なこともありますが、人間的強さを学ぶことができます。

時間に対してすごく寛容なことや、見通しを立てずに行動することにイライラしたり、「たまには放っておいて」と周りの人と距離を取りたくなったりしたこともあります。しかし私がつっけんどんな態度をとっても、いつも変わらぬ態度で接してくれます。「過去のことは気にしない」精神がこの国の人々の温かさをつくっているのだと思います。

最もウズベキスタンらしいなと思う言葉が、「Худо хоҳласа(フド・ホフラサ)」です。日本語では「神が望めば」という意味です。予定がずれても、「明日の結婚式行く?」と聞かれても、すべてこの言葉で許されてしまうのです。それでいいのだろうか、と思いつつも、なぜか納得してしまう言葉です。結婚の早いウズベキスタンでは20代後半で結婚していないと「なぜだ!」と大変心配されます。そんな時にも、「Худо хоҳласа」と答えて相手を納得させてしまいます。

ウズベキスタン人の考え方や生活の仕方を学び、保育者や子どもたちの未来のため、一緒に「幼児教育の大切さ」を考えながら、たくさんの笑顔と出会いたいと思っています。

(注)内陸国のうち、国境を接するすべての国が内陸国である国。海に出るために最低2回国境を通過しなければならない。リヒテンシュタインとウズベキスタンのみがこれにあたる。



(関連リンク)

"Smile for All in the World"あなたのやさしさを世界へ 「世界の笑顔のために」プログラム

【写真】

リシタンでは、青い陶器が有名

【写真】

結婚式で踊る女性たち。私も踊りに参加

【写真】

活動先で発表会のためにおめかししている女の子たち


【写真】

実はフルーツ天国。夏のスイカやメロンは、100円程度で甘くて美味しい!

【写真】

JICAの「世界の笑顔のために」プログラムで、日本から届いた絵本

【写真】

休日は隊員仲間とシルクロードの中間地点サマルカンドで「おーみん」(お祈り)


Twitter Facebook はてなブックマーク メール