私の職場−試験機の自作に取り組む新しい大学−

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私の職場は、ウズベキスタンの首都タシケントの地下鉄ベルヌーイ駅から東に歩いて約20分のところにあるトリノ工科大学タシケント校です。2009年に作られた、新しい大学で、研究室で地震関係の仕事をしています。私のいる部屋には、私のほかに地震学、地震観測、機械の3人の研究者がいます。地震学の研究者は、2016年1月まで日本に留学中、地震観測の方は週に1回、地震計が正常に動いているか確認に来るだけですので、普段は機械の方と二人です。

私がシニア海外ボランティアとして期待されているのは、地震観測や振動台製作についての知識や経験で、現在は主に振動台製作のアドバイスをしています。この大学が振動台を作ろうとした理由は、大学敷地内に旧ソ連時代の耐震試験施設が未完成のままあったからです。この施設は、3階建ての建物を試験できる大型のもので、完成すれば力と試験体の壊れ具合の関係を調べることが可能になります。

耐震試験施設は、試験体に力を加えるアクチュエータという装置と反力壁から構成されますが、反力壁だけが完成していて、アクチュエータは設置されていません。地震を想定した場合、耐震試験施設より振動台の方が現実に即しています。そこで、反力壁を振動台の基礎とみなし、製作が比較的容易な振動台を設置することを考えたわけです。3年前までは、水平2方向と上下に動く大型の三次元振動台を作る計画でしたが、費用の問題から難しく、教育用に小型の水平1方向の振動台を作ることになりました。私は元の職場で振動台を設置し、建物などの振動実験をしていた経験を生かし、ほとんど経験のないこの大学の方々にアドバイスしています。

彼らは、油圧機器のカタログ製品を集めて振動台を作ることを試みています。多くの場合、振動台には試験機用の油圧機器が使われますが、ここでは一般機械用のものを使って作ろうとしています。私は、構造物の耐震性の教育のため振動台を作るのだと理解していたのですが、実際にかかわってみて、機械製作教育用の材料として振動台を扱っていると感じています。日本では、振動台は機械メーカーから購入するものだとの考えが一般的です。性能は二の次にしても自分たちで溶接も行い、試験機を作ろうとするこの大学の態度には、学ぶ点があると思う次第です。

近々、完成すると思いますが、どれだけの性能があるか興味あるところです。この振動台は第一段階で、第二段階として試験機用の油圧機器を使い製作をするとのことです。私の任期中に完成し、試験ができるのを願っています。

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2009年に開校した、トリノ工科大学タシケント校

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壁面にアクチュエータを取付け試験する予定だった、向い合った反力壁(右奥と左の高い台形壁)

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製作中の振動台と関係者。奥にJICAが供与した地震計の小屋が見える(右から2人目が筆者)


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