シルクロードの生活はメタボとの戦い???
シルクロードを通じた東西文化の中継点、キジルクム砂漠にあるオアシスの町ヒヴァ。世界遺産に指定された「イチャン・カラ」の城砦の中は土壁が青と緑のタイルで彩られ、今も3,000人が住み、年間数万人が訪れるウズベキスタンでも有数の観光スポットとなっています。
今日は私が暮らすそんな世界遺産の町の食習慣についてご紹介します。
皆さまは、食事は1日何回、何時ごろでしょうか?
当地では食事時間という概念があまりなく、おしゃべりしながらお茶とともに、「ノン」というパンや果物などを一日中食べ続けます。そして、料理ができた時にお茶の時間から食事時間に変わり、炊き込みご飯「プロフ」が登場。ゆっくり語らいの食事時間を過ごすという食生活です。
特にお客さまがいらっしゃった時は、たくさんの料理でウズベキスタン流にもてなします。これは、キャラバン隊がシルクロードを横断する過酷な旅をしていた時代に起源があります。もし、砂漠で道に迷い、行き倒れになったとしても、最後の町で食べたたくさんのおいしい食事を思い出して、食に対しては悔いの残らないようにしてほしい、そんな気持ちが込められていたそうです。
苦しい環境を生き抜いてきた偉大なる砂漠の民の文化。さらにこの土地では、太ることが健康と生活の豊かさを意味します。もし、子どもが「お腹がすいた」と言ったり、お嫁さんが太らなかったりしたら、ろくに食事を与えずに虐待していると思われてしまいます。また、栄養過多の状態は結核を予防する効果もあるそうなのだとか……。
ということで、活動の中でさまざまな場所にお邪魔してお話をする際も、毎回必ずお茶とともに、大量の料理と果物、お菓子、そしてノン。
「タケシ、あなたは痩せすぎ。その状態で日本に帰したらウズベキスタンで何を食べさせたのか恥ずかしくなっちゃうわ、もっと食べて太らないとだめよ」と、いつも現地の皆さんから心温かくもてなされます。
そのためか、毎日6キロメートル歩いても増加する一方の我が体重。私の健康を気遣ってくれる在留邦人の皆さんからは、「秋葉さん、また太った?そのメタボはもう危険だよ!!」と、会うたびにいつも警告されています……。
(関連リンク)

ヒヴァの「イチャン・カラ」。私は現在この世界遺産の町で活動中です

ウズベキスタンの名物料理といえば炊き込みご飯の「プロフ」です

イベントのごちそうはもちろん「プロフ」。大釜炊きが一番おいしい

主食は「ノン」。町によって形が違います。「プロフ」はご飯ですが、“おかず”なんですよ

チャイ(お茶)は大切な文化。「ノン」とともに綿花柄の急須と茶碗で

お茶うけはドライフルーツやナッツ。手が止まらぬおいしさ