ベトナムに言語療法を根付かせたい-同僚らの支えで確かな前進-

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リハビリ専門職の一つ、言語聴覚士としてベトナム最大の経済都市ホーチミン市の「チョーライ病院」で活動しています。チョーライ病院は、1日当たりの外来患者が4,500人、入院患者はベッド数1,900床に対し2,600人ととても多く、廊下にも患者さんが簡易ベッドを使用し治療を受けており、ベトナム南部における中心的な国立総合病院です。JICAは約40年前に本館の建設、医療器材への無償資金協力ほか、技術プロジェクト、医療ボランティアの派遣など、さまざまな支援を行っています。

私の所属するリハビリテーション科は、医師4人・理学療法士30人・事務係1人が在籍しています。日本とは違い、まだ作業療法士や言語聴覚士が資格化されていないベトナムでは、医師や看護師、理学療法士の免許を持った医療スタッフが作業療法や言語療法を行っています。そのため現在、私の言語聴覚士としての同僚は医師1人、理学療法士2人の計3人です。

活動としては、まず環境を整えることから始めました。ベトナムにおいて2013年ごろからリハビリテーションの現場に導入され始めた言語療法は、社会における理解度や認知度が低いだけでなく、配属先の言語療法を実施する環境も整っていませんでした。そのため訓練道具や評価用紙の作成などを行いながら、同僚の訓練を見学するという日々を送りました。

しかし、徐々に環境が整うに従い、「患者さんがいない」という問題点が大きくなりました。訓練を行う場所も道具もあり、スタッフもいるのに、「患者さんがいない」という状況は、私にとってとても苦痛でした。毎日何をしてよいのか分からず、一日いすに座っていることもありました。

また人生で初めて触れるベトナム語に苦戦し、患者さんだけでなく同僚とのコミュニケーションを取ることすら難しい状況もありました。

その状況を打破してくれたのは、カウンターパート(注)でした。片言のベトナム語でしか話せない私と時間をかけしっかりディスカッションをしてくれました。問題点を指摘すると、翌日には上長に報告し対策を講じる話し合いの場を設けてくれたり、元気がない時には自分のことのように心配してくれたりしました。

現在はカウンターパートのおかげで、言語療法に対する理解度や認知度が徐々に高まり患者数が増え、一日の活動の流れがルーティン化されました。またカウンターパートやリハビリテーション科の同僚のおかげでベトナム語も次第に上達し、患者さんへの訓練も実施できるようになりました。

帰国まで残り3ヵ月となってしまいましたが、さらなるベトナムの言語療法の発展のため、言語療法に対する啓発活動と同僚の技術向上を目指し、最後まで活動を頑張ろうと思います。

(注)国際協力の現場で技術移転や政策アドバイスなどの対象となる組織、または行政官や技術者のこと。

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チョーライ病院の外観

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リハ科内で行った日帰り旅行の集合写真

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リハ科技術長の新築祝い


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食べる訓練を実施するカウンターパートに助言

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筆者自身が食べる訓練を実施

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同じ言語障害を持つ患者さん同士のグループ訓練


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