セルビア剣道「交剣知愛」で楽厳(たのきび)しく!

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「いち、に、さん、しい、ご・・・」と日本語の掛け声で準備体操が始まります。剣道の世界では当たり前のことですが、ここセルビアでも剣道の稽古(けいこ)の号令はすべて日本語。セルビア剣士 も日本の剣道、礼法を学ぼうと各道場で日々稽古を重ねています。

長期ボランティア3代目の私が着任して半年以上が過ぎて感じることは、セルビアでは剣道を始める動機が、ほかのヨーロッパ諸国の剣士と違っているのではないかということです。「アニメ や映画などの『日本文化』『クールジャパン』に憧れて」というよりは、スポーツ、あるいは武道の一種として始める方が多いようです。それゆえ、剣道の歴史や礼法などについて説明をす る必要があるのを感じます。

セルビアでは、ほかの道場の剣士との交流は大会や審査会などの「本番」しかないようで「出稽 古」「交流試合」はあまり見かけません。そこで「ナショナルチームのメンバーをめざす人向けセミナー」と題して、応募条件は「ナショナルチームのメンバーになりたい意志がある」だけで、会場費はJICAの支援の下、毎週土曜日に全7回のセミナーを実施することにしました。 技術的な向上だけでなく、ほかの道場の剣士との友好的な交流をもち、セルビア剣士同士のつながりを強めてもらいたいと願いを込めて・・・。

剣道には「交剣知愛」という言葉があります。これは「剣道を通して互いに理解し合い人間的な向上を図ること」を教えたものです。セルビアの人々はとても親切で公共の場でもお年寄りやハンディのある方にはすかさず席を譲るし、困った人を助けようと行動する人も多いように感じます。しかしセルビアは旧ユーゴスラヴィア連邦共和国の継承国でもあり、歴史的にも複雑な背景があり、その政治的な困難さが時には剣道の場面でも垣間見えることがあります。

「自分たちの道場・クラブ」にあまりにも執着してしまい、「交剣知愛」の精神が、いまひとつ浸透していないように感じることがありました。そこで、第1回目のセミナーではこの言葉について説明し、剣道は相手を倒すことだけが目的ではなく、相手を尊重し、お互いに尊敬できる関係を築くことが大切であることを話し、セミナーを開始しました。

今年(2016年)のヨーロッパ剣道選手権大会で、セルビア女子は団体戦で奇跡的(?!)に準優勝させていただきました。ベスト8に終わったセルビア男子のレベルも高いと思います。また貪欲に厳しい稽古を選んで、黙々と竹刀を振り続けている真摯(しんし)な姿は、日本人の武道に対する姿勢に近いものを感じます。セルビア剣道の発展にかかわれることに感謝しながら、私自身もセルビア剣道を楽しみたいと思います。

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セミナー開始。面つけも素早い!

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厳しい稽古もみんなでやれば楽しい?!

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「交剣知愛」を英語で説明したら・・・


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ヨーロッパ選手権大会女子団体戦準優勝メンバー

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セルビア剣士で初の六段合格者誕生!

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