人間関係の垣根を低くする、魔法の“決まり文句”

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前回は(下記関連リンク参照)、日本人である我々があまり知らないトルコの魅力、トルコの人たちの共通の価値観である「来客を歓迎し、おもてなしをする温かい心遣い」をご紹介した。

トルコにおける人と人との結びつきを観察していて、もう一つ興味深い点がある。それは、状況に応じた、相手を思いやる“決まり文句”(定型文)がとても多いことである。

日本では、「おはようございます」、「こんにちは」、「お疲れ様」、「失礼します」など、決まり文句の数はそれほど多くない。「ご機嫌いかが」「お元気ですか」という言葉もあるが、会話ではほとんど使わない人も多いのではないだろうか。今回は、こうした人間関係の垣根を低くする魔法の“決まり文句”をご紹介したい。

私は毎朝、配属先の用意する送迎バスに乗って出勤する。このバスには同地域に住むトルコ人の同僚たちが乗ってくる。職場に到着するまでにバスの中でどのような“決まり文句”を交換し合うか、一例をご紹介したい。

まずバスに乗ると、私はバスの運転手とすでに乗っている人たちに「Günaydın (おはようございます) Nasılsın? (元気?)」と挨拶する。するとみんなが「ありがとう、あなたも元気?」と聞いてくる。

途中でさらに何人か乗車し、バスは職場に向かう。その中に、「昨日、熱があって休んだんだ」という人がいると、「Geçmiş olsun. (お大事に。悪いことが過ぎ去りますようにという意味)」と皆で声をかける。

また、家でクッキーを作って持ってきた人は、皆に配りながら「Afiyet olsun. (召し上がれ、健康になりますように)、と言う。すると、もらった人は、「Elinize sağlık. (ごちそうさま、作ってくれた人に健康が訪れますように)」とお礼を言う。

突然誰かがくしゃみをすると、「Çok yaşa. (長生きしますように)」と皆がいっせいに言う。それに対しくしゃみをした人は、「Hep beraber. (みんなも一緒にね)」とお礼を言う。そして、バスは職場に到着、バスを降りながら皆が運転手に「Kolay gelsin. (仕事がうまく行くといいね、ご成功を祈る)」と声をかける。

もしトルコを訪れる機会があるならば、これら決まり文句を使えるようにしておくと、それだけでトルコ社会にスムーズに溶け込める。人間関係の垣根が一気に低くなっていくように感じるのだ。

日本で自分の業務とは直接関係のない職場の人、清掃係の人、ガードマン、町の八百屋・魚屋など商店の人たちと、相手を思いやる声を掛け合うことは少なくなってしまったのではないだろうか。

しかしここトルコのように“決まり文句”があれば、声をかける言葉を探す必要がない。相手を思いやる“決まり文句”の言葉を交わすことによってお互いに気持ちがほぐれ、人との間に温かい心の繋がりを実感する。

「人をもてなす心」と「人間関係の垣根を低くする魔法の決まり文句」。トルコの長い歴史の中で培われてきた良い人間関係を築くための秘訣に違いない。



(関連リンク)

変えるもの・変えないもの(2017年6月2日掲載)

トルコの人々の中にあるイスラム教(2017年7月7日掲載)

【写真】

同じ送迎バスで通勤する職員たちと。Kolay gelsin!(仕事がうまくいきますように)

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送迎バスの中の様子。Günaydın!(おはようございます) Nasılsın? (元気?)

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職場の同僚たちとシシケバブを食べているところ。Afiyet olsun!(召し上がれ、健康になりますように)


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体調を崩している人には、Geçmiş olsun (お大事に、悪いことが過ぎ去りますように)

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くしゃみをした人にÇok yaşa. (長生きしますように)、本人は皆にHep beraber.(みんなも一緒にね)とお礼を言う

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仕事が終わると、İyi akşamlar!(さようなら、よい晩を)、金曜日には、これに加えてİyi tatiller(よい休日を)と言い合って別れる


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