壁がない家「ファレ」に住む人々

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サモア独立国に青年海外協力隊として派遣され、もうすぐ1年が経とうとしている。私の配属先はサバイイ島のサレラバル小学校で、算数と理科の授業を担当している。日本と時間の流れは大きく違い、人々は1日1日を家族と共にゆったりと時間を過ごしている。私もサモアの時間の流れに身を任せ、村人との交流を楽しんでいる。

まず、「サモアってどこ?」と気になった方のためにも簡単に紹介をしたい。サモアは太平洋に浮かぶ島国であり、首都アピアがあるウポル島とサバイイ島の二つの島に人口のほとんどが住んでいる。総人口は約18万人で、国の面積は東京都の約1.3倍、宗教はキリスト教、特にプロテスタントが多い。

南国の島、サモアで生活すると様々な異文化を体験するが、特に住環境は日本と大きく異なっている。サモアの伝統的な住居は「ファレ」と呼ばれる家であり、このファレにはいくつかの種類がある。大家族が住める大きなファレ「ファレタリマロウ」。そして、少し小さいファレ「ファレオオ」である。共通点は、どちらとも壁がないことである。
日本で育った私からすると、家に壁がない状態で生活することに多少のストレスを感じる。これは、外の世界から干渉されることない、自分だけの空間で生活することに慣れていたからで、ファレに住んでいると自分だけの空間、プライバシーの確保が難しい。
首都アピアに行く度に、壁のある家の多さにびっくりする。それとは反対に、首都から離れるにつれてファレが多くなる。生活が都会的になったり、便利になったりするとプライバシーをより重視するようになるのかもしれない。

サモア人の多くはファレに住み、壁がある家よりファレが大好きだという人が多い。実際、ファレはサモアの気候に適しており、サモア人の気質を表している。家の中に風がいつも入ってきて、日中でも涼しく過ごせる。年中常夏のサモアでは、暑さをしのぐことは非常に重要なことである。また、知り合いのサモア人からファレのことについて説明を受けた時に、「壁がないのは、様々な人に対して、いつでも歓迎して待っていることの表れ」と話があった。この言葉に非常に納得したことを覚えている。村を歩くと多くの家族から「一緒にお茶を飲まない?」と誘われたり、食事に招待してもらったりすることが多い。そして、毎回「また明日来なさい」と素敵な笑顔で声をかけてくれる。その度に、サモア人が持つホスピタリティーに感謝を覚える。

壁がない家ファレに住む多くのサモア人は、人と人との間にも壁を作らず、心と心で接しているといえるかも知れない。

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海辺にあるファレオオ。村人の憩いの場となっている

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ファレオオの建築途中。約一ヶ月で完成する

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人々の生活がよく見える、ファレタリマロウ。訪問者はいつでもwelcomeだ


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コンクリートで作られたファレタリマロウ。子ども達がこまめに掃除をしている

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