教育現場の声を聴くために−学校訪問の効率化と質の向上に取り組む−

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「やっと来てくれたのか!」。ソロモンに赴任後、配属先同僚と共に初めて訪れた学校の先生が顔を曇らせながら、放った一言です。ソロモン人は温厚で明るい性格の人が多いという印象を抱き始めていたころだっただけに、少し戸惑いを覚えました。

南太平洋の島国ソロモンは、2011年には経済成長率が10パーセントを超えるなど、急速に発展しています。2013年には初の国立大学が開校し、教育分野においても盛り上がりを見せています。

配属先のイザベル州教育局は、日本でいうところの都道府県教育委員会にあたり、首都にある教育省と州内の学校との橋渡しをする役割を担っています。教育省からの情報や指針を各学校へ伝達し、実行に向けた支援を行うこと、そして学校現場の実態やニーズを取りまとめて教育省へ伝え、改善を図っていくことが求められています。

しかし、教育省とは密に連絡を取り合っている一方、州内の交通手段や通信手段などのインフラ整備の遅れ、予算不足などにより、各学校との連絡、視察訪問は十分にできないのが実態です。地域によっては、学校に勤務する教員数や勤務状況すら把握できていません。当然ながら、学校現場の実態把握なしに良い教育行政を執り行うことは難しく、早急に状況を改善する必要があります。

そこで現在、同僚と共に「学校訪問の効率化と質の向上」に取り組んでいます。以前は、局内の同僚同士が相談することなしに訪問予定を組み、別々のボートで州内の学校を訪問していました。しかし、現在は担当者間で予定を共有して調整し、複数の担当者が同じボートで移動する機会を増やすようにしています。限られた予算を効率的に使えるようになり、訪問校数、頻度が増加しつつあります。

また、1回当たりの訪問の質を高めるため、次のような訪問サイクルの構築を進めています。

訪問前には、学校に訪問目的を事前に通達することを徹底し、過去の学力調査結果の分析をする。訪問中は、チェックシートの観点に基づいて評価し、評価結果を学校と共有する。訪問後は、既定フォームへ訪問結果を入力し、教育省へ提出する。そして訪問後に入力したデータは、次回の訪問前に参照します。

こうしたサイクルを繰り返していくことにより、教育局と学校、双方にとって中身の濃い視察ができるのではないかと考えています。

多くの課題を抱える同国の教育現場ですが、未来の宝である「Gorosua(ゴロスア)」(現地語マリンゲで子どもたちの意味)のために頑張る先生たちがいます。冒頭の一言も、学校現場を何とか良くしたいという思いから発せられたものだったのではないかと、今はとらえています。学校現場の声を聴くために、引き続き力を尽くしていきたいと思います。

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視察で訪れた小学校の校舎。バナナの葉や木でできている

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幼稚園の授業

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小学校の算数の授業


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学校で先生から児童の様子などを聞く筆者(右)

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学校で施設の管理状況について聞く筆者(奥)

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