支え合いの防災国家構築

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2年間の任期がもうすぐ終わりを迎えようとしています。今こうして振り返ってみると、活動の現場や、生活の中でたくさんの不思議と感動に出合いました。片足だけスリッパを履いて歩く人。髪の毛にペンをさす人。ブラックマジック。男の子同士で手をつないで歩く文化。真っ青な海と空。屈託のない笑顔。全裸で遊ぶ子供たち。

そんな人たちが住んでいるこの素敵な国は、ソロモン。メラネシアに位置する熱帯性気候の島しょ国です。

私の配属先であるソロモン国家災害管理局は、同国における災害被害軽減、予防、被災後の緊急対応・復旧・復興活動を統括しており、国家防災計画の策定のほか、中央・地方政府関係機関、国際/ローカル非政府組織(NGOs)や現地住民組織などによる防災にかかわる諸活動の調整業務を行っています。

これらの活動を同僚と一緒に実施していく中で私が感じたのは、情報伝達の問題です。防災を考える上で非常に重要な「情報」。ですが、この国ではその情報を伝える手段が豊富ではなく、しかも不安定です。そんな場合に必要な要素の一つは、コミュニティーの自立的な防災対応活動です。言い換えると、防災に関する正しい知識を個々が有し、自信を持って実行できるということ。このために行ったのが、幼少期からの防災教育です。いつ起こるかわからない災害を頭の片隅に常に置いておくことの土台作りを、子どもたちに指導しました。

もう一つの要素は、できる限り早期に、対応チームを現地に派遣することです。「情報がないなら、直接行ってみなければ」という単純な理由です。現在、災害対応を担っているのは警察で、自然災害についての専門的なトレーニングを受けているわけではありません。「災害に特化したスペシャルなかっこいいチームを作ろうよ!」この一言から、順調に事は進み、現段階では本格的に国家緊急対応チーム設立に向けて準備をしています。

そのほかに活動を通じて強く感じたのは、人とのつながりや接し方の大切さ。自分一人では何もできないということ。周りの人を巻き込んで活動するのにも「調整」というそれなりの苦労があるけれど、この苦労を乗り越えて、少しでも調和を感じることができた活動は、後から振り返ってみても実り多きものであったと感じます。

先日、とある学校で「津波が来たらどうする?」と質問したら、「小さい子供や、高齢者を助ける」という答えが生徒から真っ先に返ってきました。防災的な観点からすれば、「津波=高台に逃げる」の方程式を外しており、最優先の回答ではないですが、なんだか心がほっこりした瞬間でした。

この国の人々の心の奥底に根付いている助け合いや、共有の精神。そのとても良い部分を大切に守り、生かしながら、自然災害と上手に付き合っていける国になることを願います。

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目隠しをして煙体験をする幼稚園児

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防災プレゼンテーションをする高校生

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幼稚園児に対し、災害の説明をする職員


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被災地への食料配給

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防災について話す筆者

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高台への避難訓練


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