ソロモン人とお金

Twitter Facebook はてなブックマーク メール

ソロモン諸島マライタ島にあるアウキ中央市場にて経営管理という職種で活動しています。決して大きな市場ではないのですが、この島では一番大きな市場になるため、島中はもとより近隣の島からも農作物を売りに人々が集います。売られているものは、タロやキャッサバなどのイモ類、ピーマン、ナスなどの野菜、海産物にシェルマネーと言われる民芸品などです。

活動の中で、100人程度の市場利用者にインタビューをして、生活の中の問題を聞いて回ったことがありました。その中でよく聞かれたのは、お金を稼げない、農作物が上手く育たない、といったことでした。

市場はこの島で過ごす人々にとって自分たちの資源を換金できる数少ない場所です。お金をあまり使わない文化だった彼らが、お金の稼ぎ方と使い方を初めて知る場所でもあります。子供を近代的な学校に行かせるため、維持管理に手間のかからない建材を買うため、外来の種を買い、栽培の知見も少ない野菜を新たに育てて売っているのです。一方で、目の前には海外から来たコーラや菓子類、携帯電話がある。学費の支払いまで時間があるし、少しだけ…。お金の魔力はすごいです。近代化という文脈の中での社会の変化が、この島にまで及んでいるのを目の当たりにしました。変化にうまく対応しきれない市場利用者へ、何ができるだろうかと考える日々でした。

人々と話す中で感じたことは、先進国に興味はあるものの自分たちがそうなりたいと思っている人は少なく、自分の生活に十分満足しているようでもありました。ただ、社会の変化には抗えません。変化を捉え間違えると、日本も経験したような環境破壊や、お金欲しさに、といった治安の悪化も避けられません。彼らのベースとなる生活を維持しつつ、お金を使う文化をうまく活用する。そのために市場で私ができること、それを活動にしようと思いました。

活動の一つはお金の帳簿付けをすること。もう一つは、お金で買ったものの後に残るゴミの処理でした。市場の管理層とお店のオーナーたちに、お金の管理方法を学んでもらう。そして、近くの職業訓練校でビジネスを学ぶ生徒に市場に来てもらい、市場利用者へ帳簿付けを教えてもらう。これは、お金とうまく付き合うためです。そして新たに入ってきた「ゴミ」を意識するために、今まであった緑のゴミと分別し、コンポストを作成する。プラスティック、缶などは環境を壊してしまいます。農業が中心の生活を維持するために、必要なことは何なのか。そのためにできることをしていこうと思いました。

私がしている活動が社会を変えられるとは思っていません。ただ、物質的な豊かさを求める文化と、自然とともに生きてきたソロモンの文化がうまく共存して、島の生活が持続可能であるために何ができるか。そのことをソロモンの人々と一緒に考えていきたいと思っています。


【写真】

アウキ市場外観

【写真】

市場の様子

【写真】

環境省からの支援で届いた分別用のゴミ箱


【写真】

コンポストの作成の様子

【写真】

コンポストの勉強会

【写真】

帳簿付けをする同僚


Twitter Facebook はてなブックマーク メール