豊かな前浜を維持しよう

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JICAは、南太平洋の島しょ国の一つであるバヌアツにおいて、「豊かな前浜プロジェクト」を実施しています。

バヌアツを含めた南太平洋島しょ国では、沿岸のリーフ(サンゴ礁)に生息する貝類や魚などの水産資源が自給用、あるいは現金収入源として重要な役割を果たしています。しかし、人口が増加しているにもかかわらず、沿岸の住民はリーフの外での漁業開発の手段を持たないため、近年リーフ内の水産資源が減少してきています。また、大型台風による被害が増えており、食糧援助物資が届くまでの間、手近にある水産資源の重要性はますます高まっています。

このプロジェクトは、現地の人々自身によってリーフの水産資源を保護し、持続的に利用することを目的としています。活動の一つに、リーフ外であまり利用されていない豊富な水産資源を利用する道を開くことがあります。

バヌアツ沿岸では、陸からわずか数キロ離れたところを大型のマグロやカジキが回遊しています。これまで、これらの魚は観光客の釣りの対象でした。観光客は船を走らせながら海面で疑似餌を引っ張り、魚がかかるのを待ちますが、いくら豊富に魚がいるとはいえ、一日中走って魚が釣れれば相当に運のいい方でしょう。しかし、運任せでは漁民の生活は成り立ちません。そこで、プロジェクトでは、浮き魚礁と呼ばれる魚を集める装置を導入しました。この装置は海底に重りをおいて海面の浮きとロープで結ぶという単純なものです。しかし、これだけで魚が集まってきます。

バヌアツでは、これまでもこの装置は設置されてきましたが、耐久性を考えて頑丈なものが一般的でした。しかし、当然、金額も高価になり、また、漁民たちの小型の船では必要な資材を運搬することができないため、沿岸の漁民に普及していませんでした。私たちのプロジェクトでは、沿岸の漁民の船でも設置できるよう、小型で安価なもの、つまり、これまでの頑丈な装置とは全く相反するアプローチをとりました。

バヌアツ水産局は、2015年にバヌアツを襲った超大型のサイクロンが去った後も残っている装置を見て、このアプローチを信頼し、その後は、全国に設置されるようになってきています。私たちは、この装置がバヌアツの漁業の発展とともに、リーフの水産資源を維持しつつ、持続的な食糧供給源として利用されることを切に願っています。



(関連リンク)

各国における取り組み バヌアツ

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観光客が釣ったバショウカジキ。これらの利用を目指しています

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これまでの装置の資材は、このような小型船では運べませんでした

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海面近くに取り付けた旗が関心を呼び、魚が集まってくるようです


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装置設置後に取れた小型のマグロです

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