はかり知れない地球の動きに目をこらす―地震の活断層調査、GPS観測に向けた現地協議を実施

2010年11月13日

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(左より)加藤教授、奥村教授、(手前左)ディクシット教授、(手前右端)マリック准教授。IITカンプール校舎屋上にて

11月1日から11日、「自然災害の減災と復旧のための情報ネットワーク構築に関する研究」プロジェクト(DISANET)(注1)の一環で、インドの地震や地盤の動きの日印共同調査詳細打合せのため、加藤照之東京大学地震研究所教授と奥村晃史広島大学教授2名が訪印し、インド側カウンターパートであるIITカンプールのディクシット工学部教授、マリック同学部准教授等と協議を持ちました。これら日印の研究者は地震災害軽減に向けGPSを活用した地盤変動や活断層の調査を共同して実施することになっており、今般、インドの実情に即した今後の研究実施方法等に関して詳細な協議が行われました。

(注1)DISANETは、IIT-Hと慶応大学を中心研究機関として実施されている「地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS:Scienceand Technology Research Partnership for Sustainable Development)」の愛称です。SATREPSは、科学技術と外交・国際協力を相互に発展させる「科学技術外交」の一環として、外務省、文部科学省とJICA、独立行政法人科学技術振興機構(JST)が連携して、ODAの枠組みを活用した国際共同研究事業です。

ヒマラヤ山脈の麓の地盤調査に向けて

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麓から臨むヒマラヤ山脈

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(左より)奥村教授、加藤教授、マリック准教授

インド北部にあるヒマラヤ山脈はインドプレートとユーラシアプレートの間の沈み込みで起きた大陸同士の衝突による造山運動から生じており、そうした運動は今も続いていることから、山脈の麓が地震の多発地帯となっています。DISANETは、継続的に地震と気象データを収集するためのセンサーをそれぞれヒマラヤ山脈周辺及びアンドラ・プラデシュ州内に設置し、データ解析体制と国際的情報ネットワークインフラを構築、災害の早期把握、救援活動、復旧、復興を支援する基盤を整備することを目指し、今年7月に開始した5年間の日印共同研究プロジェクトです。ヒマラヤ山脈の麓の地盤変動や活断層を詳細に調査することは、インドの地震の傾向の分析に資する本プロジェクトの大切な活動のひとつとなります。

今般、日印両研究者は本プロジェクトでGPSを活用した地盤変動や活断層の調査をこれから共同して実施するにあたり必要となる、インドの実情に即した調査機材の仕様詳細や、近年のヒマラヤ山脈研究に基づいた調査対象候補地の検討、今後の調査対象地選定に向けた段取りや研究実施にあたっての検討課題等に関して詳細に協議しました。

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奥村教授とマリック准教授(左図)、加藤教授とディクシット教授(右図)機材に関し協議中。

特に奥村教授とIITカンプール研究チームはIITカンプールがあるウッタルプラデシュ州から更にインド北部のヒマーチャルプラデシュ州、パンジャブ州へとGPS設置や活断層トレンチ調査の候補地になり得る箇所を陸路で踏査し、現場の風景を詳細に観察しつつ地形の歪みや地層、考古学上の記録等を詳細に分析、10万年以上前から人類にははかりしれないスケールで繰り返されていると考えられるヒマラヤ山脈の麓の活断層の動きにあらゆる人智を尽くして迫ろうと熱心に取り組んでいました。現地踏査にはIITカンプールの学生等も同行し、調査の補佐をする傍ら、実地で研究を行う第一線の日印研究者により直接実践的な薫陶を受ける得難い機会を謳歌していました。

IITカンプールのディクシット工学部教授、マリック同学部准教授は今回の協議を踏まえ12月に訪日、加藤、奥村両教授はじめとする日本の地震研究の有識者と意見交換をし、更により多角的な二次資料等を活用した詳細検討を進め、GPSを活用した地盤変動や活断層の共同研究をヒマラヤ山脈の麓で具体的に展開していくことになっています。

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パンジャブ大学にて、周辺地域の道路地図や既存の研究論文、考古学上の記録等を もとに踏査地域を検討する日印研究者チームと学生等

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過去の断層の調査結果を現地で奥村教授や学生達に紹介しているマリック准教授

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地形の歪みを発見し所見を議論しあう日印研究者チーム

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ヒマラヤ山脈の麓にて地形の概観を精査すべく、民家の屋上に登らせてもらう日印研究者チーム