地震災害の影響を正確に把握するには?―日印研究者が最新の建物振動や強振動推計に関する研究交流実施

2010年11月19日

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(右より)古村教授、鷹野教授、IIIT-Hプラディープ准教授。(左端)伊藤研究員。ダム周辺地域の振動計測実地視察案内者とともに

11月9日から14日、「自然災害の減災と復旧のための情報ネットワーク構築に関する研究」プロジェクト(DISANET)(注1)の一環で、鷹野澄東京大学情報学環/地震研究所教授、古村孝志同教授、伊藤貴盛東京大学同研究所特任研究員の3名がハイデラバードを訪れ、インド研究者と最新の建物振動や強振動推計に関する研究交流を行いました。

(注1)DISANETは、IIT-Hと慶応大学を中心研究機関として実施されている「地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS:Scienceand Technology Research Partnership for Sustainable Development)」の愛称です。SATREPSは、科学技術と外交・国際協力を相互に発展させる「科学技術外交」の一環として、外務省、文部科学省とJICA、独立行政法人科学技術振興機構(JST)が連携して、ODAの枠組みを活用した国際共同研究事業です。

建物の振動を正確に計測する

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今般供与された振動計測機の一部

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プレゼンテーションをする鷹野教授

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プレゼンテーションをする古村教授

DISANETは、継続的に地震と気象データを収集するためのセンサーをそれぞれヒマラヤ山脈周辺及びアンドラ・プラデシュ州内に設置し、データ解析体制と国際的情報ネットワークインフラを構築、災害の早期把握、救援活動、復旧、復興を支援する基盤を整備することを目指し、今年7月に開始した5年間の日印共同研究プロジェクトです。様々な建築物の振動の様子、そこから導き出される脆弱性を正確に計測することは地震の災害を軽減するための有効な対策づくりに資する本プロジェクトの大切な活動のひとつとなります。

今般日本の研究チームは建物の振動を計測するセンサーを日本からインド研究チームカウンターパートであるInternational Institute ofInformation Technology, Hyderabad(IIIT-H)に供与し、振動計測の実地デモンストレーションを行いました。加えて鷹野教授は日本の立体的なビジュアルをつかったわかりやすい最新の建物振動計測の研究に関しインド研究者にプレゼンテーションを行いました。

大地震の余波を推計する

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インド研究者のプレゼンテーションに積極的に耳を傾ける日本研究者チーム

大地震が起こった際、震源地から遠隔地にどのように余波が波及するかを計測することも、地震の影響を正確に把握する本プロジェクトの大切な活動のひとつです。強振動の影響を推計する数学的モデルを研究している古村教授は今般、世界でも類をみない地震多発国である日本の様々な経験を用いた強振動推計のシミュレーションを活用し、震源地が遠隔地であっても広範囲に地震の影響がもたらされ得るという事実をわかりやすくインド研究者に紹介していました。

インドの地震・振動研究

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プレゼンテーションをするIIT-Hスブラマニアム工学部教授

これらのプレゼンテーションはDISANETのインド研究チームカウンターパートであるIIIT-HやNational Geophysical ResearchInstitute (NGRI)で紹介され、インド研究者もインドの最新の建物振動のシミュレーションや強振動のモデル化、小地域地震危険度マップ作成、ダム周辺地域の振動の実地計測の様子紹介等といった多様な取組を日本研究者に紹介しました。DISANETのインド研究チームカウンターパートはDISANET開始の遥か以前より日本で地震研究を行っていた経験があり、日印研究者は研究交流の傍ら旧交を温めあっていました。

インド工科大学ハイデラバード校(IIT-H)研究者との交流

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NGRIの前でインド研究者達と記念撮影する日本人研究者チーム

DISANETプロジェクトの中心実施機関であるIIT-Hは新設校であるため、プロジェクト開始時には上述のような研究に携わる専任研究者が未だ雇用されていませんでした。しかし最近になって専任研究者が拡充されてきたこともあり、今般の日印の研究交流の場にはそうした研究者も同席し、建物振動や地盤工学の分野での研究に関して積極的に意見交換を申し出ていました。

このように、今般の研究交流は短期間ではありましたが、日印研究者が深く専門的知見を交換する有意義なものとなりました。