タミルナド州植林事業

背景と目的

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インドでは、貧困層を含む多くの人々が、現金収入などの生活源を森林に依存していますが、人口・家畜数の増加や、急激な経済成長により木材需要が急増し、森林伐採が進んでいます。タミルナド州においても森林の荒廃が進んでおり、約70万ヘクタールが緊急に対応を要する荒廃林とされています。本事業では、住民参加型の植林を行い荒廃林の再生を図ると共に、地域住民の生計改善による貧困削減を目的としています。

  • 借款契約(L/A)調印日:1997年2月25日(フェーズ I)、2005年3月31日(フェーズ II)
  • 借款金額:13,324百万円(フェーズ I)、9,818百万円(フェーズ II)
  • 実施機関:タミルナド州森林局

事業概要

本事業のフェーズ1では約43万ヘクタールを、フェーズIIでは約18万ヘクタールの植林と森林管理を、JFMと呼ばれる枠組みの下で地域住民と森林局が共同で行っています。森林局においては、衛星画像を活用した地理情報システム(GIS)による森林管理技術の強化も図られています。貧困削減への取り組みとしては、森林周辺住民の代替収入源の確保と生活向上のためのサポートも行われています。具体的には、住民のニーズに沿った小規模インフラ整備や、相互扶助グループ(SHG)を中心とした所得向上活動などが行われています。

JFMとは
JFMとは、Joint Forest Management(共同森林管理)の略称で、行政(森林局)と地域住民が協力して植林及び森林管理を行う住民参加メカニズムを指します。従来インドでは、不法伐採・放牧を行うなどして森林に依存して生活する住民は森林局にとっては取締りの対象でした。しかし、住民に森林保全意識を醸成させ、共同で森林管理を行わなければ効果的な森林保全を行えないことが次第に認識されるようになり、1980年代にJFMの概念が形成されました。JICAの植林事業は全てこのJFM方式を支援するものであり、JFMは森林再生と地域住民の貧困削減を図る上での重要な基盤となっています。

事業ハイライト

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SHGの活動の原資としては、マイクロファイナンスが取り入れられています。マイクロファイナンスは、貧困層や低所得層を対象とする、貧困の軽減を目的とした貸付等の小口の金融サービスです。主に女性を中心とするグループ単位の自助組織であるSHGは、借り入れた資金を元に、畜産、刺繍、工芸品製造、これらの販売などの小規模な商業活動を行っています。こうした活動から得られた収入は住民の生計改善に貢献しています。本事業のフェーズ1でマイクロファイナンスを導入したことをきっかけに、その後実施されている全てのJICAの植林案件にマイクロファイナンスのコンポーネントが盛り込まれています。