デリーで活躍する帰国研修員

2009年11月3日

Save The Children Indiaのニーラム・マタイさん

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STCIデリー事務所のスタッフ。左から2人目がニーラムさん

ニーラム・マタイさんは、デリー市内サライ・カレ・カーン地区のスラムで女性と子供の教育と健康促進を支援しているNGO「Save The Children India(STCI)」のプログラム・マネージャーです。ニーラムさんは、平成20年度のJICA青年研修「社会福祉コース」で、他の14人の参加者とともに2009年2月に来日し、小松市国際交流協会の受入れ協力を得て北陸の社会福祉活動の視察や地元青年グループとの交流を行いました。そのニーラムさんの事業地を訪問しました。

サライ・カレ・カーンは400年前から存在するコミュニティで、今でも約60,000人の人々が住んでいます。ここの住民は、他州から汽車や長距離バスに乗ってデリーにやって来た出稼ぎ労働者とその家族です。出稼ぎで上がってくる他州からの労働者は、デリーに着いていきなり職を得られるわけではありません。取りあえずはこの地区で家を探し、ここを拠点にして職探しを行ない、首尾よく仕事が見つかれば、ここから通うか或いは別の居住区に移って行くので、人の出入りは激しくなります。また、この地区にそのまま居を構えた世帯でも、夫が外に働きに出かけるといっても、せいぜい日雇い労働かプライベート運転手等、得られる職は限られています。実入りは少ないし、ストレスも多いので、1日が終わるとお金が酒に化けてしまうことも頻繁に起こります。ストレスが家の中で爆発して家庭内暴力にエスカレートしていくこともあります。元々低所得世帯が多いだけに、生活環境は劣悪です。学校就学率は低いし、子供の栄養摂取も不十分で、人身売買も問題になっています。

STCIデリー支部は1994年創設。その活動1つが就学前の児童(2歳半〜5歳)を預かる幼稚園です。こういう幼稚園を運営することで、地域の女性が日中働きに出ることもできるようになるし、就学年齢になった時の子供達のドロップアウトのリスク軽減に繋がることも期待されます。

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就学前幼児教室の風景

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幼児教室で使われていた教材

この幼稚園で使われていた教材をご覧下さい。ラミネート加工した数字や文字、野菜・果物のイラスト等のカードの裏に小さなシート状のマグネットを貼り付け、それをホワイトボードに張って使われています。こうすると単純に厚紙を加工して使うのに比べて摩耗も少ないから長持ちします。また、手前に置いてあるのは、ペットボトル2本に水ときらきら光るスパンコールを入れて口を塞いだ手作り玩具です。ニーラムさんが日本での研修に参加した際、訪問先で見かけた様々な教材を参考にし、必要な材料を日本で買い込んで帰ってきて作ったものだそうです。

思春期女性向けの裁縫研修も行われていました。こうした裁縫の殆どは家の中での衣服の維持に使われますが、ちょうど私達が見学した時には、新聞紙を型紙として使い、布から衣服を作ってみるという研修が行なわれていました。

STCIの活動は事務所で行なわれているだけではありません。この地区の住民の半数はムスリムであるため、女性は遠出ができません。このため、STCIの側から出向き、各世帯を戸別訪問して女性の悩みを聞き、相談に乗ったりする活動が行われています。

STCIとJICAとの繋がりは、ニーラムさんが参加した青年研修を通じて初めてできました。今後はせっかくできたこのような繋がりを、他のJICAの事業とも関連付けてさらに強めていきたいと思います。

ニーラムさんが参加した青年研修の模様は、研修企画したJICA北陸のホームページでご覧下さい。

(文:インド事務所・山田)