草の根技術協力実施団体と現地NGOとの経験交流を仲介

2009年11月12日

11月11日、インド・ウッタラカンド州で草の根技術協力「思春期女性自立支援プロジェクト」を実施中の地球市民ACTかながわ(TPAK)とその現地パートナー団体Mamta Samajik Sanstha(以下、MAMTA)の関係者をデリーに招き、市内北東部シ—ラムプール地区のスラムにあるジェンダーリソースセンター(GRC)に案内しました。このGRCは、デリー政府から委託を受けて現地NGOであるDatamation Foundation Charitable Trust(以下、データメーション)が運営しています。

6月から始まったTPAK/MAMTAの草の根技術協力の重要な柱の1つがGRCの設立です。ムスリム中心のコミュニティでは女性が遠出をすることが難しく、女性が得られる公共サービスに関する情報の殆どが家庭内の男性を通じてもたらされます。この点に着目したTPAK/MAMTAは、コミュニティにより近い場所に情報アクセスの拠点を設ければ女性は訪問しやすくなり、そこで自分の権利について理解し、また生活向上に必要な技能を修得する機会も得やすくなると考えました。

しかし問題はGRCのコンテンツです。どのようなサービスをGRCで提供すれば、女性にとって通いやすく、かつそのエンパワーメントに繋がるのでしょうか?

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マルチメディア研修の内容を聞くメンバー

データメーションはデリー北東部にある9箇所のGRCの運営を州政府より受託して活動を行っています。今デリー州では各部局で縦割りになっていた貧困層向けの様々なサービスを一本化する「ミッション・コンバージェンス」という取組みが行われており、州政府が行うサービスの末端の窓口となっているのがこのGRCです。ムスリム人口が住民の9割を占めるシーラムプール地区にあるこのGRCでは、寡婦年金や老齢年金等の受給申請の支援や女性向け法律相談、週2回の健康診断などの活動に加え、縫製や手工芸品、メーキャップの研修、そしてデータメーションの得意とするマルチメディア開発の研修も行われており、TPAK/MAMTAチームが訪問した時も、地域の多くの女性が訪れ、活発な活動振りが窺えました。

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縫製品のサンプルを見る

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縫製の研修を見学

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訪問を終えたTPAK/MAMTA一行

縫製や手工芸品も、サンプルをクリアファイルに入れて見やすく準備されていたり、パソコンを利用して見栄えの良い広告が作られていたりといった注文をしやすくする工夫が随所に見られた他、センターの壁面をフルに活用して、住民の間で生まれた「サクセス・ストーリー」が訪問者が目にしやすい形で掲示されていました。こうして自分の名前が紹介されることで、女性の間にも自信が芽生えつつある様子を垣間見ることができます。

この日ようやく実現した交流プログラムはとても評価が高く、TPAK/MAMTAチームが事業地に持ち帰って応用できるアイデアの種が幾つも得られたようです。チームはこの後西ベンガル州カリンポンで別の草の根技術協力事業実施団体とも交流を予定しています。

JICAインド事務所のNGO-JICAジャパンデスクでは、インドで草の根技術協力事業実施中の団体の現地スタッフを対象に、プロジェクト実施能力の強化に繋がるインド国内での研修への参加や事業実施の参考となる他の団体との経験交流などを支援しています。インドのNGOセクターの大きな問題点として、他の団体がどのような優れた取組みを行っているのかがわからないという情報ギャップを指摘する声がよく聞かれます。ジャパンデスクでは、これからも現地での様々な取組みに広くアンテナを張り、見知らぬ団体と見知らぬ団体の交流を仲介する取組みを行っていきたいと考えています。

(文:インド事務所・山田)