マハラシュトラ州プネ県のエコフレンドリーな農村開発

2009年12月10日

ICA文化事業協会とJICAは、2008年10月からマハラシュトラ州プネ県において、草の根技術協力「貧困削減のための農村開発プロジェクト」を実施しています。ICA文化事業協会は米国シカゴに本部を置く国際NGOです。このプロジェクトでは、ICA文化事業協会の日本支部とインド支部がパートナーシップを組み、プネ県内の4つの村に包括的な農村開発支援を行っています。

「プネ」という都市の名前を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。プネは近くのムンバイ以上の国際都市と言われ、インド工業の中心地であり、研究施設や高等教育機関が多く点在しています。特にソフトウェア開発にはインド政府が力を入れ、南インドのバンガロールと並びIT革命で発展を遂げた地域です。

その一方で、県内のムルシ地区はプネの最貧困地区の一つとされ、住民の80%以上が小規模農家として農耕生活を営んでいます。

プロジェクトの中心は、1)農業支援、2)酪農支援およびバイオガスプランとの普及と3)人材育成です。

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住民が力を合わせて、灌漑ポンプを湖に設置。

1)農業支援は、未整備だった灌漑設備と水を供給するためのパイプラインを設置し、麦や稲の生産性を向上する目的があります。収入向上のために果樹や薬用樹も植林されています。ミミズ堆肥導入の推奨も生産性向上のためになされています。化学肥料は極力使わず、牛糞やミミズ堆肥を使うなど限りある資源を回転させることにより、農業生産向上を目指しています。

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バイオガスを使ってチャイを作る女性。家の壁と床は牛糞で作られている。

2)酪農支援では、乳牛飼育の技術移転、必要資材の供与を通じて各農村家庭が小規模でも酪農ができるような体制作りを目指しています。牛は1頭平均18,000ルピー(約34,000円)と、平均農業年収が15,000ルピー(約28,000円)の農家にとって非常に高価ですが、酪農支援の要望は住民の声によるものです。プネ市に近い地理的な利点を活かして、村に牛乳集配センターを作り、質の高い牛乳を市内へ運送する牛乳組合の組織作りが進行中です。また、バイオガスプラントを設置することにより、牛糞の有効利用と環境に配慮した資源の活用、ガスや肥料に対する支出の軽減も目指しています。バイオガスプラントの導入は、朝早く薪拾いに出かける女性達の労働時間の短縮と、炉の煙から女性たちの健康を守る役割も担っています。

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村の集会で活発に自分意見を伝える人々。女性も積極的に集会に参加。

3)人材育成では、農業研修を開催し知識の普及を行いつつ、各自に責任を持たせることによりオーナーシップや責任感の向上を目的としています。ICA文化事業協会は物資の供給を通じた開発援助ではなく、リーダーの育成や、コミュニティーの問題発見と解決を自分達自身の力でできるようにするなど、人材開発に重点を置くNGOです。ICAは、2003年よりムルシ地区で活動をしていますが、当初人前で自分の意見を発表できなかったシャイな男性数人が、現在では集会で堂々とスピーチし、住民に牛乳販売に必要な組織作りを訴えています。

文:インド事務所 沼澤まりこ