子どもの感性を育む芸術教育(ムンバイ市)〜光の音符〜

2011年3月23日

本年1月、インドで新たな草の根技術協力事業がスタートしました。実施団体は光の音符です。

事業名称は「スラムの子ども達の自立向上のための音楽指導者育成計画」(2011年1月〜2012年3月)で、ムンバイのダラヴィ地区に住む子どもたちを音楽・ダンスを通じてエンパワーメントする活動です。ダラヴィ・スラムは、第81回アカデミー賞(2009年)を受賞した映画「スラムドッグ$ミリオネア」のモデルとなったアジア最大規模のスラムといわれる場所です。

光の音符は京都市にあるNGOで、音楽家、舞踊家、看護師、学生などがそれぞれの専門性と関心を活かしながら、音楽やダンスといった情操的な体験を共有し、支援者と被支援者が共感する中から人と人が自然に支え合う活動を目指しています。

ダラヴィ地区の子どもたちと芸術活動を軸とする光の音符が出会うまでにはそれぞれ道のりがありました。

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西村ゆり光の音符代表と話すセラフィン修道女(右)

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光の教室の子どもたち

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セラフィン修道女(中央)とBLPメンバー

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セラフィン修道女と教室の子どもたち

光の音符代表の西村ゆりさんは、1983年からJICA専門家としてアグラのJALMAセンター所長を務めた西占(にしうら)貢(みつぐ)医師を父に持ちます。ゆりさんは音楽家として、1994年に光の音符を立ち上げ、日本のハンセン病療養所などでの出張演奏会等を開催するようになります。2003年には世界最大のハンセン病患者数を有するインドでの活動を始めるために、団体内で「インドプロジェクト実行委員会」が発足しました。音楽活動を中心にしてきた光の音符ですが、長年の活動の経験を、市民一人ひとりの等身大の国際交流として活かすべく、インドの子どものために教育支援を始めることになりました。

2004年からは、BLP(Bombay Leprosy Project)をパートナーとして、社会の最底辺の中でも最も弱い子どもを対象に一人ひとりの自立性を高める活動をしてきました。BLPはムンバイ市で30年以上にわたりハンセン病医療に携わってきたNGOです。

一方のインド側には、セラフィンという名の一人の修道女がアクウォース・ハンセン病病院の敷地内で始めた「モンスーンと日光(ひかり)の子どもたち」という名の教室がありました。路上で暮らす子どもやスラムの子どもの身の回りの世話からはじまり、食事を提供し、文字を教える活動でした。

セラフィン修道女の活動に光の音符はBLPとともに参画することになり、ハンセン病患者の子どもを含むスラムの子どもたちのための識字教育の場である「光の教室」を運営することになりました。この教室が草の根技術協力事業の主要事業地です。

現在、この教室へ通う児童(学年はクラス1〜4、年齢は7〜14歳)約50名は、ダラヴィ地区に住んでいます。現在「光の教室」通学児童のうちの約1割から3割がハンセン病に罹患、もしくは治癒した子どもたちであり、親が患者という児童もいます(子どもの移動が激しく、時期によって割合は大きく変化します)。残りの半数のさらに半数の児童は身体障害をもち、その親にも障害があるケースも珍しくありません。貧困と病気と差別の真っ只中にいる子どもたちです。この子どもたちの笑顔のために、この事業が提案されました。

子どもたちが背負わなくてはならない過酷な現実に立ち向かっていけるよう、心身の自立をサポートしたいというのが究極の目標ですが、本件事業では音楽指導者の育成と地域社会における理解者・支援者の獲得を目指します。

JICA大阪が、草の根技術協力事業(JPP)の実施団体である光の音符(支援型)の記事をアップしました。どうぞご照覧ください!

【「人」明日へのストーリー】
<草の根技術協力事業(支援型)>インド光の音符 「音楽とダンスで子ども達の笑顔を作る」