VLFMプログラムから生まれたプロダクツ「チョットクール」がエジソン賞金賞を受賞

2012年6月6日

JICAはインド製造業の変革を牽引するビジョナリーリーダーを育成するプロジェクト「製造業経営幹部育成プログラム(Visionary Leaders for Manufacturing Program (VLFM))」を2007年8月より支援しています。同プログラムは新製品コンセプト創造から製品販売後のサービスまでを包含する総合的な「ものづくり」に重点をおき、司馬正次チーフアドバイザー(筑波大学名誉教授)の指導・助言の下、既に500名余のリーダーが育成されてきました。

インドのゴドレジ・ボイス社は、プログラムの開始当初から受講者の派遣を続けている企業のひとつですが、VLFMプログラムでの学習と経験を生かし、冷蔵庫へのアクセスがないインドの人口の80%の人々をターゲットとした食料などを保冷するための簡易型冷蔵庫「チョットクール」を開発しました。同社の副社長G.サンドラマン氏は、ニーズの発見から製品化に至るまでのプロセスを社内で主導し、開発を成功に導きました(このプロセスの詳細については、こちらをご覧ください)。同氏はVLFMシニアマネージャーコースのモジュール・ダイレクターも務めており、産業界からプログラム実施を支える大黒柱の一人です。

この「チョットクール」が、2012年4月26日、世界中のイノベーティブな製品を対象とした米国のエジソン賞のベスト新製品賞(Best New Product Award)の社会インパクト(Social Impact)部門で金賞を受賞しました。受賞を受けて行われたG.スンドラマン氏へのインタビューの中で、インタビュアーのHari Nair氏(Innosight社(注1)副社長)はこの製品がユニークである理由として「(電球を開発しただけでなく電力をあまなく人々に届けるモデルを作り上げたエジソンと同様に)、チョットクールは冷蔵庫というプロダクトの開発だけでなく、製品を必要とするユーザーを正しく特定し、その周辺にあるビジネスモデル全体を作り上げた」ことを挙げ、スンドラマン氏はチョットクールの根本的なイノベーションのポイントとして「1.技術、2.デザイン、3.人々へ届ける手法、4.人々とのコミュニケーション」の4つの側面を挙げました。

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受賞トロフィーを手にしたゴドレジ・ボイス社のジャムシッド・ゴドレジ会長兼社長と「チョットクール」実機(写真はゴドレジ・ボイス社提供)

なお、同カテゴリの銀賞(Whirlpool社の洗濯機)、銅賞(Rural Shores、先進国からのOffshore業務移転の観念を援用し、インド国内の地方農村部への業務移転(金融、保険等々)を通じた雇用創出モデル)ともインドから選ばれ、同カテゴリは今年度インドが独占する形となり、「包摂的な成長(Inclusive Growth)」を国家成長のひとつの目標として標榜するインドにおいて民間セクターも軌を一にした取組を進めていることを如実に示す結果となりました。

今回のチョットクールの同賞の受賞は、VLFMプログラムの成果がインド国内のみならず、世界的に評価された証であると言えます。今後もこのような「目に見えないニーズを感じ取る」ブレークスルーを果たし、社会の変革につながるプロダクツ開発を実現できるような人材を育成していくべく、関係者は日夜VLFMプログラムのさらなる改善に向けた奮闘を続けています。

(注1)Innosight社は「イノベーションのジレンマ」などで知られるハーバード大学の経営学者クリステンセン教授が設立した会社。

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