インドにおける無収水対策の技術・知識の共有に向けて:ゴア州無収水対策プロジェクト

2013年9月6日

2013年9月5日から二日間の日程で、インドのゴア州にて無収水率改善に向けたワークショップが開催されました。浄水場で処理された水のうち、料金回収にまで至らなかった水道水を無収水(Non-Revenue Water : NRW)と呼び、インド全体での無収水率はおよそ50%と認識されています。日本の無収水の割合が10%以下、東京都では3%以下であることと比べると、非常に多くの水が無駄になり、また多額の料金が回収できていないことがわかります。無収水対策は、無収水の原因である漏水や盗水等を探知する技術や設備の改善だけでなく、不適切な料金設定や徴収体制などの実施機関の組織改革を含む非常に困難な課題の一つです。JICAでは日本が誇る高い無収水対策の技術やノウハウを途上国に伝える取り組みを実施しており、今回ワークショップの会場となったゴア州でも、技術協力プロジェクト(ゴア州無収水対策プロジェクト)を実施中です。今次ワークショップは、当該技術協力プロジェクトのカウンターパート機関であるゴア州政府公共事業局(Public Works Department:PWD)が、プロジェクトを通じて得た経験を、JICAが水道事業を支援している他の州の水道事業者と共有し、今後他州での無収水対策の取り組みに役立てることを目的として開催されました。

ワークショップには、JICAが支援する上水道プロジェクトの関係者を中心に100名にもおよぶ参加者が集まりました。一日目は、各州の無収水対策の取り組みや、ゴア州の現場で働く若手エンジニアたちによる発表があったほか、東京都水道局による上水道事業の概要説明や、JICA専門家によるスリランカでの無収水対策プロジェクトの成果などの発表がありました。出席者からは、使用している機材や、住民への啓発活動の内容についてなど、実務的な質問が積極的になされ、それぞれの問題意識や、それに対する取り組みについて、活発な意見交換がなされました。

二日目は、各州の実施機関の経営層と若手エンジニアの2グループに分かれてワークショップが実施されました。経営層グループは、一日目に引き続き、東京都とゴア州のそれぞれの無収水対策の共有に加え、インド政府が推し進める官民連携(Public Private Partnership:PPP)による上水道事業の可能性についても、活発な議論を繰り広げました。一方、若手エンジニアグループは、屋外での実践的なトレーニングに参加しました。参加者たちは、ゴア州のプロジェクトで活用されている漏水検知の機材や流量計等を実際に現場で体験して、自分たちの地域でそれぞれの技術が活用できるかどうかを確かめるように、多くの質問を投げかけていました。

インドの水道管は老朽化が進み、漏水は非常に大きな問題です。また、水道料金は政治的な影響もあり、実際の運営コストを反映した適正な水道料金を設定することが難しいという問題もあります。このような難しい環境下で、無収水対策は、単なる技術や設備の改善と共に経営面も含めた包括的なアプローチと、何よりも関係者全員の意識改革が必要とされています。今回のワークショップでは、参加した若手のエンジニアたちが自分たちの地域の状況や課題について、積極的に意見交換をしていた姿が数多く見受けられ、インドの抱える無収水という大きな課題に取り組む彼らの強い意気込みを感じることができました。JICAはこれからもこのようなワークショップを開催し、日本の知見の共有、JICAが支援している実施機関同士の経験の共有を進めていきます。

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流量計で水道管の中を流れる水の量を測定する。

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既存の水道管の敷設箇所が明確ではないため、金属探知機や漏水探知機などを活用して水道管を探知することも無収水対策の重要なステップ。

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JICAが支援する水道事業関係者100名以上がワークショップに参加。