インドにおける高速道路整備や維持管理を支えるJICA長期専門家

2014年4月10日

インド運輸交通分野の発展とODA

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円借款にて整備された外環道路(ハイデラバード外環道路建設事業)

インドでは、昨今の急速な経済成長に伴い、道路ネットワークの構築が急務となっており、第12次5ヵ年計画や国家道路交通政策等において、全国的にバランスの取れた道路網開発を掲げ、新規道路建設、既存道路拡幅・補強、橋梁架け替え、PPP(官民連携)による事業形成、安全・エネルギー効率・社会環境保全の重視等の必要性に言及するとともに、空港や港湾等へのアクセス向上による円滑な一貫輸送の実現を課題としています。実際の整備については、インド道路交通省(Ministry of Road Transport and Highways:MORTH)が中心となり、国道整備計画(National Highway Development Program:NHDP)を立ち上げ、2015 年までに 5 万 km の国道の改築を目指し国道整備を進めているほか、高速道路についても、2022年までに、総延長18,637キロメートルを建設するとしています。このように高速道路や国道整備はインドにとって目下、最重要課題の一つになっていますが、日本は1958年にインドへのODAを開始して以来、円借款や無償資金協力を通じて、インド国内の主要な国道や橋梁等のインフラ整備を支援すると共に、MORTHやインド国道庁(National Highway Authority of India : NHAI)など関係機関に道路交通分野の長期専門家を1990年代前半から20年に渡って派遣し、人材育成や制度改善などのソフト面についても支援を続けてきました。

インド道路交通分野におけるソフト面への支援

国道や高速道路の適切かつ効率的な整備には、個別のインフラ建設のみならず、MORTH、NHAI、さらに州の公共事業局など、道路工事の発注者や管理者向けのマニュアルやガイドライン作成が重要になります。特に、インドでは、昨今、国道や高速道路の設計施工から維持管理運営まで民間事業者に委託する動きが強まっており、それら業者をどのように評価し監督するかが大きな課題になっています。そのような問題意識の下、日本の道路管理の経験と知見を伝えるため、2013年1月〜2015年12月の3年間の予定で、JICAは技術協力プロジェクト「道路運営維持管理の組織能力向上プロジェクト」を実施しています。道路維持管理といっても、橋梁の補修や舗装、斜面の整備など、分野は多岐にわたります。各分野への日本企業の高い技術の導入はもちろん、老朽化が進んでからの対処療法ではなく、どのように効率的かつ計画的に補修箇所を点検、発見し、予防保全を目的に補修工事を実施しているのか、その仕組みについてもインド側からの高い関心が寄せられています。

駄竹清志前専門家、インド道路協会にて授賞

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インド道路協会年次総会にて感謝状を授与される駄竹前専門家(写真右)

このような中、ひとつ嬉しいニュースが飛び込んできました。インドの道路セクターにおける専門家として活躍された駄竹前専門家が、今年1月20日、インド道路協会(Indian Road Congress: IRC)の年次総会にて、過去5年間の同氏のインド道路交通分野に対する貢献に対して表彰されました。インド道路協会とは、1927年に設立され、インド政府の関連省庁や州政府、研究機関や民間企業のメンバー約13,500人から構成されるインド道路における技術分野の一大組織であり、表彰は快挙ともいえるものです。駄竹前専門家の表彰理由は、高速道路ガイドラインと同マニュアル、ならびにその他関連重要文献の作成への貢献を高く評価されてのものです。高速道路ガイドラインと同マニュアルは、駄竹前専門家が2009年からアドバイザーを務めた技術協力プロジェクト「持続可能な高速道路開発のための能力向上プロジェクト(2007年6月~2011年1月)」の成果品で、IRCより発刊され、前者はインドにおける高速道路の調査、設計、運営、維持管理に関する唯一の文献として、後者はインドにおける唯一の高速道路技術仕様書として、インド国内で広く活用されています。 その他、駄竹前専門家は、インド滞在中、道路技術者向けのテキストブックも多く作成し、5年間通算で約2,200人の中央政府、州政府、民間企業から派遣されたインド人技術者に対して道路研修を行いました。

このたびの駄竹前専門家への表彰は、駄竹前専門家ご個人の業績であることはもちろんですが、同時に、これまでの日本による協力の集大成を象徴する出来事ともいえるものです。JICAは、インドの成長の根幹を支える道路交通分野において、ますます多様化するニーズに応えるよう、今後とも重点分野の一つとして支援を進めていきます。