JICAの支援によるインド北東部ミゾラム州における農業・灌漑開発技術協力プロジェクトの実施合意文書の署名

2016年10月26日

2016年10月26日(水)、国際協力機構(JICA)及びインド北東部のミゾラム州政府との間で、技術協力プロジェクト「ミゾラム州持続可能な農業・灌漑開発のための能力強化プロジェクト」に関する実施合意文書(Record of Discussion: R/D)の署名式が行われました。この署名式はミゾラム州アイゾールで行われ、ミゾラム州ラルマルサウマ首席次官(Mr. Lalmalsawma, Chief Secretary, Government of Mizoram)とJICAインド事務所坂本威午所長が署名しました。本技術協力プロジェクトは、JICAとミゾラム州小規模灌漑局、農業局、園芸局、土壌水保全局等との協力により、持続可能な農業・灌漑開発を通じて、環境に負荷の大きい移動焼畑農業の縮小、食糧安全保障、及び農家の生計向上に貢献するものです。

インドでは、国土面積の約半分が農地であり、人口の約7割が農村部に居住し(インド国センサス2011)、就労人口の約50%が農業に従事しています(第68回国家サンプル調査(2011年7月〜2012年6月))。同国の均衡のとれた社会経済発展と貧困削減に農村開発は不可欠となっています。

同国のミゾラム州は、インド北東部の山岳州です。国内の他地域との距離や険しい地形による地域内交通の不便さ等により開発が遅れ、農村貧困人口率はインド平均の25.7%に比べて35.4%(2011-12年)と高くなっています。100万人を超える人口の約60%が農業で生計を立てているにも関わらず、土地全体の70%が急峻な山岳地域のため、耕作できる土地は極めて限られています。この限られた土地で、多くの農家が伝統的な移動焼畑農業を営んできましたが、昨今の人口増加(2001年から2011年にかけて20%超の増加)に伴う休耕期間の短縮化によって農業生産性が低下しているほか、森林破壊が深刻化しています。

ミゾラム州政府にとって、食料安全保障及び農家の生計向上等の観点から、持続可能な農業発展と自給率向上を図ることが最優先の課題となっていましたが、これまでミゾラム州農業の総合的分析及び包括的戦略に基づく開発計画は存在しませんでした。

これを踏まえ、JICAは「ミゾラム州持続可能な農業のための土地・水資源開発計画調査」(2013年9月〜2015年5月)を実施し、州全域の長期的・包括的な農業マスタープラン策定を支援しました。このマスタープランは、ミゾラム州における農業・灌漑開発の正式なロードマップとなっています。

今回、R/Dの署名式が行われた技術協力プロジェクトは、このマスタープラン実現を後押しするために計画されたものです。

具体的には、まず、農家と州政府関係部局が協力してプロジェクトを計画・実施・モニタリング・評価するための手順を記載したガイドラインを作成します。これに加えて、水管理方法や栽培技術などをまとめた州政府職員向けのマニュアル、農家向けの研修教材(紙芝居や図表など)を作成します。次に、ビルクホースラー(Bilkhawthlir)、アイボーク(Aibawk)、サーチップ(Serchhip)、及びチャンパイ(Champhai)の4つの農村開発ブロックをパイロット地域として、これらガイドラインやマニュアル等を用いつつ、座学研修や実地研修を通じて、州政府職員の能力強化に取り組みます。パイロット地域での活動を通じて、ガイドラインやマニュアル等を現場の実情に合わせて改訂するとともに、州政府関係部局が、農家の視点に立って共同でプロジェクトを実施するための枠組みを構築していきます。

JICAは、日本から、灌漑・維持管理、換金作物栽培、マーケティングなどの専門家をミゾラム州に派遣する予定です。また、ミゾラム州政府職員や先進農家等を日本に招き、農業開発計画の策定、農業研究・普及体制、農業協同組合、灌漑事業管理などをテーマとした研修を実施することも計画しています。

この技術協力プロジェクトを通じて、持続可能な農業・灌漑開発を促進するためのミゾラム州政府による農家向け支援体制を強化することで、JICAはミゾラム州において、環境に負荷の大きい移動焼畑農業の縮小、食料安全保障、及び農家の生計向上に貢献します。

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調印式写真:R/D署名式に臨むラルマルサウマ・ミゾラム州首席次官(右側)、坂本威午・JICAインド事務所長(左側)