世界保健機関による国際緊急援助隊医療チームのEMT認証

2016年10月12日

認証審査の様子

医療資機材の説明

授与式の様子(チャンWHO事務局長(右から5人目)と鈴木JICA理事(右から4人目)を囲んで)

国際緊急援助隊医療チーム(以下「JDR医療チーム」)に対し、10月11日、世界保健機関(World Health Organization: WHO)マーガレット・チャン事務局長より、緊急医療チーム(Emergency Medical Team: EMT)認証状が授与されました。

海外で大規模な自然災害が発生し甚大な被害が発生した際、世界各国から政府系・非政府系の様々な緊急医療チームが被災国・地域へ派遣されますが、その能力や水準は様々であり、近年、より良い被災者支援のために質の確保が課題となっています。このため、WHOは2011年にEMTの国際標準の策定を開始し、JICAもその検討作業に参画してきました。そして、EMT認証(EMT Classification)及び国際登録(Global Registry)制度が2015年7月から開始され、2016年10月現在75チーム(世界26ヶ国)が認証を希望しています。本登録制度により、大規模災害に対応する被災国政府や国際機関等は各EMTの能力を事前に把握することが可能となり、各EMTの能力に相応しい役割や活動地を割り当てることができ、より効果的な被災者へ緊急医療支援を行うことができます。

JDR医療チームは、本年2月にEMT認証を申請し、WHO事務局による事前視察、電話会議等を経て、6月1〜2日に認証視察を受けました。同視察では、JDR医療チームの組織体制、各種ガイドライン・マニュアル、近年の活動(バヌアツ・サイクロン、ネパール地震等)、チームが携行する資機材の説明を行いました。WHOからは、豊富な経験と能力を有する医療人材が派遣候補者として登録されるシステム、高水準の医療資機材、充実した研修制度などに関し、世界でも優れた事例として今後、EMT認証を志すチームへの参考事例としたいとのコメントがありました。視察の結果、同視察チームはWHO事務局長に対してJDR医療チームのEMT認証を進言し、JDR医療チームは、中国(1チーム)とロシア(2チーム)に次いで世界で4番目のEMTとして、タイプ1(外来患者に対する初期医療及び巡回診療を実施)及びタイプ2(外科的手術や入院機能)及びスペシャリストセル(透析及び手術)の能力を有するチームとして認証を受け、国際登録されました。

10月11日に都内で行われた認証状授与式で、チャン事務局長は、「2010年のハイチ地震の際には、十分な医療資機材を持たずにスーツケース一つでやってくる医療者が多数おり、僅か数日間で帰ってしまった。医療チーム間の調整にも問題があったため、被災者に必要な支援を届けられなかった反省から、WHOはEMT制度を開始した」と語りました。次いで、チャン事務局長から、長期で質の高い医療サービスを提供できるJDR医療チームに対する高い評価と、WHOが主導する感染症対策等の国際的動向に関する貢献に対して大きな期待が寄せられました。これを受けて、JICA鈴木理事が、「EMT認証を受けたチームとして今後も、質の高い緊急医療サービスを被災者へ提供するとともに国際標準の形成に貢献していきたい。また、アジアを中心に各国の医療チームの能力強化に貢献していきたい」との抱負を述べました。

今回のEMT認証は、JDR医療チームの約30年の経験とその中で培われた技術・制度が国際的に評価されたものです。現在のJDR医療チームを形作られた歴代の支援委員、総合調整部会員、各種検討会員及び登録者の方々、外務省始め関係省庁のご支援、ご協力なしには認証を得られませんでした。厚くお礼申し上げます。