田中理事長がUNHCRのグテーレス高等弁務官と会談

2014年11月18日

グテーレス高等弁務官(右)と田中理事長

田中明彦JICA理事長は11月14日、JICA本部(東京都千代田区)で、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のアントニオ・グテーレス高等弁務官と会談しました。

UNHCRは人道支援機関として従来、新たに発生した難民に対して緊急支援で応じることに専念してきましたが、昨今、長期化した難民問題の解決(注1)に焦点を当てており、世界各国のドナーを巻き込んだ「Solutions Alliance」(注2)というイニシアティブを立ち上げています。

グテーレス高等弁務官は、国連総会などの機会をとらえて、世界の安定化に向けて開発機関がより一層かかわっていくよう働きかけていると述べました。さらに、Solutions Allianceにおいて日本がザンビアやソマリアへの貢献を表明したことに触れ、難民問題の解決に向けたJICAの取り組みは模範的なものであると語りました。

田中理事長は、Solutions Allianceに対しては、可能な限り貢献したいとした上で、今こそ、人道支援と開発協力をシームレスに行うことで、危機から脱した国が安定した状況に移行できるよう支援すべきだと強調。また、世界経済の中心となっているアジア太平洋・インド洋地域への危機の拡大を防ぎ、成長の可能性を保持することが重要であると語りました。

また、グテーレス高等弁務官が、ヨルダンやレバノンにおけるJICAの活動はUNHCRにとって重要な意味を持つと述べると、田中理事長は、パレスチナのジェリコ農産加工団地(注3)を紹介し、同事業を通じてパレスチナ、イスラエル、ヨルダンに対して、文民による事業が平和構築に貢献することを示していきたいと応じました。

さらに両者は、シリア、ヨルダン、レバノンなどの中東地域や南スーダンなどの情勢について意見を交換しました。


(注1)局地的な紛争の長期化に伴い、長期的に難民状態にある人々(長期化した難民)は、世界の難民数(2013年末で約5,120万人)の4分の3を占める。長期化した難民問題の解決には、現地統合、帰還、第三国定住のいずれかの方法があるが、その実現のためには人道支援に開発の視点を組み込んでいく必要がある。
(注2)人道機関と開発機関が緊密に連携して、難民問題の解決に当たるための国際的なイニシアチブ。2014年4月にデンマークのコペンハーゲンで開催された円卓会合において立ち上げられた。
(注3)2006年7月、中東を訪問した小泉純一郎首相(当時)が提案した「平和と繁栄の回廊構想」を具現化する取り組みの一つで、ヨルダン川西岸地区のジェリコ市郊外に日本の支援で整備された農産加工団地。