「インド洋経済圏セミナー」を大阪で開催

−6ヵ国の現地最新情報をJICA事務所長らが紹介−

2014年9月26日

JICA関西は、9月5日、大阪市内で「インド洋経済圏セミナー」を開催した。セミナーは、JICA本部(東京都千代田区)で開催された在外事務所長会議の機会をとらえて実施。インド洋を取り囲む「インド洋経済圏」が、近年、投資や貿易の対象として注目を浴びていることから、インド洋経済圏に属するアフリカのケニア、タンザニア、モザンビーク、アジアのインド、バングラデシュ、ミャンマーの在外事務所長らが、関西の企業に現地の最新情報を届けた。

アフリカ3ヵ国の投資環境の現状

セミナーの前半では、ケニア、タンザニア、モザンビークのアフリカの事務所長が各国の概況と投資環境などを紹介した。

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江口所長

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大西所長

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須藤所長

ケニア事務所の江口秀夫所長は、「モンバサ港開発事業」や「オルカリア地熱発電事業」などのインフラやエネルギー分野の支援に加え、カイゼンの手法による経営指導や技術者支援などの現地の産業人材育成を支援する事例を紹介。また、モンバサで始まったケニア初の経済特区の開発にも触れ、東アフリカのゲートウエーとしてのケニアのビジネス環境を整備するJICA支援について話した。

タンザニア事務所の大西靖典所長は、依然として道路舗装率や電化率が低く、トランスペアレンシー・インターナショナルが発表する「腐敗認識指数」の世界ランクで下位にあることに触れながらも、植民地型経済構造からは完全に脱却していることを強調。その投資や市場としてのポテンシャルの高さから、近年の海外直接投資流入はアジアと遜(そん)色ない額となり、東アフリカの中では高い水準にあることを示した。また、日本企業の優れた技術に対してタンザニアからの期待が大きいことや、JICAが天然ガス利用や電力システム開発計画策定を支援していることなどを語った。

モザンビークの須藤勝義所長は、経済は高成長しているが、雇用を創出する産業がなく、貧困率がいまだ高いこと、22年間に及ぶ内戦の影響で、就学年数が短く、優秀な人材が不足していることを指摘した上で、石炭や天然ガスなどの天然資源の開発がこれから本格化することや、港と内陸部を結ぶナカラ回廊の開発にかかわるJICAの支援について説明した。

アジア3ヵ国の投資環境の現状

続く後半は、インド、バングラデシュ、ミャンマーの事情を紹介。インド、バングラデシュについてはJICA本部の南アジア部が発表した。

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松本次長

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尾藤課長

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田中所長

南アジア部の松本勝男次長はインドについて、8月に来日したナレンドラ・モディ首相の下、スローダウンした経済成長の再加速に取り組んでいることを取り上げ、両国の良好な関係を強調した。また投資の足かせとなっているインフラ不足や制度面の不備に対して、インド政府がJICAと共にチェンナイ〜バンガロール産業回廊のマスタープラン作りや「タミルナド州投資促進プログラム」などを実施し、改善を図っている事例を紹介。インド側の発展に対する真剣な思いを伝えた。

バングラデシュについては、同じく南アジア部南アジア第四課の尾藤好文課長が、政治・社会情勢がようやく落ち着き、過去5年間で日本企業の進出が倍増したが、海外直接投資の全体量はまだ少ないとの現状を報告。それでもインドとASEANの間にある地理的条件を生かしたバリューチェーンの形成を目指す「ベンガル湾産業成長地帯構想」や、国を挙げての最優先計画である「ダッカ都市交通整備事業」、日本企業専用の経済特区の開発に対してJICAが支援している事例を紹介した。

ミャンマーの田中雅彦所長は、海外からの大きな期待がある一方で、ビジネスのしやすさは、世界銀行の報告書「Doing Business (ビジネス環境の現状)」によると189ヵ国中182位と非常に低いと指摘し、投資環境の改善を課題に挙げた。またJICAが「ティラワ経済特別区関連インフラ整備事業」や「通信網緊急改善計画」などのODAのスキームを総動員して支援しているティラワ経済特区とその周辺の開発についての説明したほか、2015年に予定されている総選挙とミャンマーの今後の方向性について語った。

発展産業と消費者ニーズに高い関心

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インド洋経済圏に関心を持つ企業関係者約150人が参加

120人の定員を大きく上回る約150人が参加した会場から、「発展のきっかけとなる自動車産業と消費者ニーズの現状」「アフリカにおける縫製産業のニーズと人件費」などのほか、多数の質問が挙がった。

セミナー終了後には、「6ヵ国の状況が一度にわかり効率的だった」「なじみのないアフリカの情勢がよくわかった」「各国所長の生の声が聞け、参考になった」などの声が参加者から寄せられた。

JICAは日本企業の技術やサービスが、開発途上国の課題解決に貢献できるよう、中小企業の海外展開支援などを含む民間連携事業を強化している。JICA関西は、今後もセミナーなどを通じて、関西の企業と途上国がwin-winの関係を築けるよう支援していく。

(注)「インド洋経済圏セミナー」は、2013年9月にJICAの在外事務所長会議開催に合わせてJICA本部で開催されたセミナー「JICA事務所長による途上国現場レポート」の開催を、2014年は関西地域に拡大したもの。JICA本部では9月11日、昨年に引き続き同セミナーと名刺交換会が開催され、インドネシア、ベトナム、ミャンマー、バングラデシュ、インド、エチオピア、ナイジェリア、コートジボワールの各所長が現地事情を報告し、ゼネコン、金融、コンサルタントなどから、昨年を上回る延べ500人以上の参加を得た。