シンポジウム「アジアにおける都市の水管理:その課題と可能性」を開催

2016年4月15日

概要

会議名:シンポジウム「アジアにおける都市の水管理:その課題と可能性」
開催日:2016年4月15日

主催:JICA
東京大学生産技術研究所
株式会社日本水道新聞社
シンガポール国立大学リークアンユー公共政策大学院

後援:厚生労働省
国土交通省
東京都水道局
東京都下水道局
公益社団法人日本水道協会
公益社団法人日本下水道協会
一般社団法人日本水道工業団体連合会
特定非営利活動法人日本水フォーラム
東洋大学国際共生社会研究センター

場所:東京 東京大学生産技術研究所コンベンションホール

主な参加者

(登壇者)
・アシット・K・ビスワス シンガポール国立大学 リークアンユー公共政策大学院 名誉客員教授
・セシリア・トルタハーダ シンガポール国立大学 リークアンユー公共政策大学院 上席研究員
・沖 大幹 東京大学 生産技術研究所 教授
・高橋 裕 東京大学 名誉教授

(司会進行)
・松丸 亮 東洋大学 国際地域学部 教授

(聴講者)
関係省庁、外郭団体、地方自治体、上下水道事業体、大学、民間企業、NPOなどから、約180名が参加。

背景・目的

人口増や生活水準の向上に伴う水需要量の増加、気候変動の影響など、アジアの都市の水管理は、様々な問題を抱えており、益々深刻化することが懸念されている。

一方で、アジアには、都市国家シンガポールにおける高度な水管理、「プノンペンの奇跡」とも呼ばれるカンボジアの首都プノンペン市における水道事業の目覚ましい改善など、都市における水管理の先進的な事例がある。

本シンポジウムは、これらの事例や、我が国の都市の水管理について、国内外の著名な学識経験者に講演いただき、未来のアジアにおける都市の水管理のあり方について議論するために開催したもの。

内容

本シンポジウムでは、プノンペン、シンガポール、東京における水管理の歴史的な発展の経緯が紹介され、今後の展望や日本およびJICAに期待される貢献が議論された。

ビスワス教授は、開発途上国で最も優れた水道事業体がプノンペン水道公社であると紹介し、水道利用者の使用水量を測り、対価の支払いを得るという解決策を追求し、全戸調査と水道メーターの設置を進めたこと、JICAが長年の協力を継続したことが成功要因であるとした。また、同教授は東京の水道が世界的にも優れているにも拘わらず、その経験や教訓が英語圏の人々にほとんど知られていないことを指摘し、「The Tokyo Water Story」をまとめて発信すべきであると提言。JICAもプノンペンに対する協力の成功を世界に共有すべきとの期待が述べられた。更に、日本の水ビジネスは日本人を使うことでコスト高になっていると指摘し、シンガポールが立地条件を活かして世界の水関連企業の研究開発機能を集積する政策に取り組んでいることを紹介しつつ、日本も政策を変えることでビジネスモデルを変えるべきであると述べた。

トルタハーダ博士は、シンガポールがマレーシアからの水の輸入という安全保障上の問題に対処するために水源の多様化を進め、自国内の集水域の保全と活用、下水処理水の再利用(NEWaterと呼ばれる)、淡水化を推進していることを紹介。また、水供給の強化だけでなく、価格政策や公教育を通じて水需要の抑制を進めていることを解説した。

沖教授は、江戸から東京にかけての水管理の歴史を振り返り、水道施設能力が水需要を満たせるようになったのは40年ほど前であること、かつては隅田川もひどく汚染されていたこと、地盤沈下が深刻であったことなどに触れ、改善のプロセスを豊富なデータで紹介した。また、今後の課題として、人口減少社会におけるインフラの維持、短時間の激しい降雨が増えているという気候変動への対処を挙げた。更にミレニアム開発目標(MDGs)や持続可能な開発目標(SDGs)の成果と課題に触れつつ、どのような未来にしたいのかを話し合うことが重要であると述べた。

パネルディスカッションでは、会場からの質問を中心に議論し、日本企業、水道事業体、公的セクターに対する期待などが話し合われた。

最後に高橋教授がまとめとして、水管理は各都市の文明や文化と切り離せないことを指摘し、このような事例の比較を中国やインドなども含めて行うことが重要であると指摘した。

資料

関連リンク

【画像】

登壇した講師。左から、高橋裕東京大学名誉教授、ビスワス シンガポール国立大学 リークアンユー公共政策大学院 名誉客員教授、トルタハーダ同上席研究員、沖大幹東京大学教授。

【画像】

パネルディスカッションの様子。