ケニアでTICADVIプレイベント(高等教育)を開催

2016年7月22日

概要

会議名:TICADVIプレイベント"Higher Education Breakthrough for Human Resources Development and Innovation in Africa"
開催日:2016年7月22日(金)
主催:ケニアジョモ・ケニヤッタ農工大学、JICA
場所:ケニア国 ジョモ・ケニヤッタ農工大学講堂)

主な参加者

【開会挨拶】
・マベル・インブガ氏(ケニアジョモ・ケニヤッタ農工大学(JKUAT)学長)
・戸田隆夫氏(JICA人間開発部 部長)
・植澤利次氏(在ケニア日本国大使館 特命全権大使)
・コレッテ・スダ氏(ケニア教育省 次官)

【基調講演】
・アフマド・エルゴハリ氏(エジプト日本科学技術大学(E-JUST)学長)
・山極壽一氏(京都大学 総長)

【パネルディスカッション】
・高橋基樹氏(京都大学 教授)*モデレーター
・マベル・インブガ氏(ケニアジョモ・ケニヤッタ農工大学(JKUAT)学長)
・アフマド・エルゴハリ氏(エジプト日本科学技術大学(E-JUST)学長)
・ケビット・デサイ氏(Linking Industry with Academia 代表)
・アディパラ・エクワム氏
(Regional Universities Forum for Capacity Building in Agriculture(RUFORUM) 事務局長)
・二村聡氏(株式会社ニムラ・ジェネティック・ソリューションズ 代表取締役社長)
・カマウ・デヴィット・ジョロゲ氏(ABEイニシアティブ帰国研修員)
・角田学氏(JICA 国際協力専門員)

【閉会挨拶】
・ポール・カニャリ・ンジュキ氏(ケニアジョモ・ケニヤッタ農工大学(JKUAT)評議会委員長)

背景・目的

アフリカの多くの国が産業発展、工業化、科学技術立国を政策目標として掲げているが、科学技術イノベーション分野を担う人材、予算、質を伴った実践の不足等により、それら政策実現が遅々として進まない現実に直面している。
科学技術イノベーション分野において、高等教育機関の果たすべき役割は、世界の先端研究・技術を踏まえつつ、それをローカライズし、Knowledge bridgingとして世界と自国社会を繋ぐことであろう。
先端研究・技術を取り入れて、自国の産業の現場、日々の生活に活かすという意味でのローカライゼーションに最も必要なのは、現地の状況をよく知るイノベーター、アントレプレナーであるが、アフリカの理工系大学はこのような人材が十分育っていないため、今後人材育成を強化する必要がある。
また、理工系人材の育成に加え、ローカライズされた先端研究・技術を現場へ適用するにあたり、政策策定、ビジネス化、マネジメントを行う文科系人材についても、同時に高等教育機関での育成が必要である。
アフリカならではのリソースを活かして、「アフリカ型科学技術イノベーション」を創出するために、科学技術立国である日本が得意とする「ものづくり」、高等教育機関における研究力・技術力、産官学の豊富な実績・総合力を活かすことが可能である。
近い将来、アフリカから世界最先端の科学技術イノベーションを発信するために、アフリカ域内・域外の高等教育・科学技術分野の人材育成、ネットワーク強化、産官学連携に向けて今後何をすべきか、アフリカと日本が一緒に考えるグローバルな学びの機会とした。

内容

イベントには学生、大学教員、研究者、民間企業関係者等約280名が参加した。

冒頭挨拶において、インブガ氏はJKUATの発展と日本の協力の歴史を紹介、ケニアさらに域内における理工系人材育成に中心的役割を果たしていく決意を述べた。戸田氏は、JICA協力における哲学として、1)Visionの共有、2)Learning Continuityの実現、3)地域を越えたMutual Learning on a Global Scaleの有効性について言及し、アフリカ型イノベーション創出に向け手を携えて取り組んでいくことを呼びかけた。植澤氏は、日本の協力の特徴が長期的視野に立った人への投資にあるとし、アフリカで初めて開催されるTICADVIが更なる社会経済発展への契機となることに期待すると述べた。スダ氏は、科学技術発展における産学官の連携の重要性を強調した。

基調講演では、エルゴハリ氏が、アフリカの高等教育機関の入学者数は増えているが、開発課題解決のためにはまだ不十分、研究やイノベーション活動を推進すべきと言及、山極氏は、京都大学がアフリカで展開する科学技術協力(SATREPS)の事例を紹介、アフリカ各国のオーナーシップ、国際社会との協調(人材育成含む)が重要である旨、言及した。

続くパネルディスカッションでは、まずパネリストそれぞれの立場から、アフリカで科学技術イノベーションを創出するために、アフリカの高等教育機関の役割、産官学含むネットワーク強化、産業界が高等教育機関へ期待すること、について発表された。
高等教育機関の立場から、インブガ氏は、科学技術イノベーションの課題を大学のカリキュラムに反映させる必要があると言及、大学間ネットワークの視点から、アディパラ氏は、各国、地域が協調し、若手研究者による革新的研究と起業家精神の強化が必要と言及した。 また、日本の産業界より二村氏が、産学連携にあたり、高等教育機関の強みを活かした研究(独創性、長期的な調査)の他、マネジメント(清潔、適切なスケジューリングや予算管理等)やコンプライアンスの遵守がポイントであると言及、角田氏は、イノベーション創造のために、日本のものづくりの精神、5Sや3C(Clean、Campus、Campaign)の考え方が有効であると言及した。
最後に、モデレーターの高橋氏より、高等教育機関は、Knowledge Reproduction、Knowledge Transfer、Knowledge Creationのそれぞれの段階において、国内外の科学技術と社会の現状を理解したうえで、産官学を適切に繋ぐ"Knowledge Bridge"としての役割を担うことが重要と指摘。このために、国境や地域を超えたネットワーク、リンケージの拡大にも今後取り組む必要があると総括した。

本イベントの成果を踏まえ、JICAとしては、アフリカのリソースを活かした科学技術イノベーション創出に向け、今後もアフリカにおける高等教育機関の研究能力強化に加え、域内外のネットワーク構築に取り組む予定である。

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JICA人間開発部戸田部長の開会挨拶

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JKUATインブガ学長の開会挨拶

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ケニア教育省スダ次官による開会宣言

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E-JUSTエルゴハリ学長による基調講演

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京都大学山極総長による基調講演

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産学それぞれの立場のパネリストでディスカッション

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日本の産業界より二村氏が登壇

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京都大学高橋氏はモデレーターとしてパネリストと参加者より様々な意見を引き出した。