モザンビーク:「PRONASAR 2017-2030に向けて」ドナー及びモザンビーク全州を対象としたセミナー開催!

2017年2月15日

プロジェクト成果を全国へ−プロジェクト終了から新たなスタートラインに向けて−

2017年2月15日にモザンビーク共和国(以下、「モザンビーク」)の首都マプトで、本プロジェクトで得られた知見や教訓をモザンビーク国内で共有し、今後のPRONASAR(注1)の改訂に向けた意見交換のためのセミナーが開催されました。

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本プロジェクトを代表して横木総括から、プロジェクトから得た経験や知見の発表が行われ、参加者へ共有された

同セミナーにはMOPHRH(注2)の大臣、在モザンビーク日本大使のほか、国家給水衛生局長や主要援助機関等、総勢120名以上の参加者があり、「持続的な開発」をテーマに今後のPRONASARに対する議論が行われました。本プロジェクトからは横木総括が「1)地元民間企業の育成と協働、2)スペアパーツサプライチェーン、3)人材育成」についてプロジェクトの経験と知見を発表しました。

セミナーでは、本プロジェクト以外に主要援助機関も発表を行い、モザンビーク国の国家プログラムであるPRONASARの今後(2017-2030)に向けて以下を含む様々な提案がありました。

・今までの教訓を踏まえ、持続可能な開発目標(SDGs)の方針に沿ったプログラムとする
・衛生セクターの改善に向けた一層の取り組みを行う
・移転された技術を組織内で共有し、組織の財産として残すことに留意する
・給水・衛生情報システムの全国レベルでの運用を早期に開始する
・投入等の透明性を確保する
・学校及び保健所の給水・衛生状況を優先的に改善する、など

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モザンビーク政府関係者以外にもオランダ大使や日本大使も参加し、盛大なセミナーとなりました

更にパネリストからは、地元民間企業を育成することの重要性や施工の品質向上のために各企業(または個人)のパフォーマンス評価に係る制度の導入や関係者間での関連情報の共有等が提案されました。また、ドナーからは本プロジェクトで実施した人材育成に係る能力評価方法について情報提供の依頼があるなど、有意義な議論・知見共有の場となりました。

(注1)モザンビーク国家地方給水衛生プログラム
(注2)公共事業住宅水資源省

プロジェクトがもたらしたもの

【画像】本プロジェクト「ニアッサ州持続的給水・衛生改善プロジェクト」は、モザンビーク北西部に位置するニアッサ州で2013年1月から開始されました。

モザンビークは16年およぶ内戦が1992年に終結、その後順調な民主化プロセスを経て、豊富な天然資源を背景に安定した経済成長を遂げてきました。内戦により、インフラ設備は荒廃しましたが、経済成長とともに順調に整備が進んでいます。しかしながら、地方部の開発は遅れがちでモザンビークにおける重点課題とされています。特に、プロジェクト対象であるニアッサ州を含む北部地域は、長期間内戦の舞台となったことから開発の遅れが顕著にみられる地域です。

【画像】ニアッサ州は上記のような状況にありますが、マラウイ、ザンビア、ジンバブエなどの内陸国とモザンビークのナカラ港を繋ぐための物流ルート、通称「ナカラ回廊」の開発も行われています。この回廊開発は、内陸国の資源供給と地域産業の活性化を目的にしたもので、2000年代頃から注目が集まり、様々な支援が行われ、日本は1998年からプロジェクトによる開発支援を始めています。

回廊開発を見据えた給水・衛生改善

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住民によるハンドポンプの維持管理研修の様子。住民の表情は真剣そのもの

ニアッサ州における技術協力プロジェクトを開始した当初(2014年)は、同州における安全な水へのアクセス率は36%と、全国平均52%(2014年)を大きく下回るだけではなく、給水率は全国で唯一低下傾向にあり、改善が急務な状況にありました。

本プロジェクトでは、給水・衛生分野の施設建設や啓発、管理システムの構築などをニアッサ州の4郡を対象に技術協力という形で支援してきました。2017年2月にプロジェクト完了を迎え、4年に亘る活動の結果、安全な水へアクセスできる人数が34,500人増加し、72村落で野外排泄の撲滅を達成しました。後者については、村落での聞き取り調査からも二週間以内の下痢症の発生率がプロジェクト開始時から大幅に減少したことが確認され、プロジェクトの効果で徐々にではあるが衛生環境・行動が改善されていることが認められています。

施設整備だけでは終わらない−人材が育つことの大切さ−

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住民参加型の衛生啓発ワークショップでは、現地に精通した普及員が大活躍

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学校用のトイレ完成で喜ぶ生徒たち。清掃は当番制で生徒が主体的に行う

本プロジェクトは通常のアプローチとは異なり、施設設計から施工、そして住民への衛生啓発を一つの技術協力プロジェクトとして実施しています。従来のように「給水分野」や「衛生分野」、「建設」と「啓発」で各々を独立したプロジェクトとはせず、包括的なアプローチが意識されています。これにより、長期的かつ段階的な人材育成がなされ、「座学から現場作業へ」と活動が推移し、「知識を経験に」変える機会をカウンターパートや地元民間業者が多く持つことができました。この過程において、実施側に主体性が生まれ、個人だけではなく組織的な大きな成長へと繋がり、プロジェクト終了後の持続的な運営へ素晴らしい財産が築かれました。

今後も、このような地方給水・衛生改善に包括的に取り組むプロジェクトの実施により、現地のニーズ及び能力に見合ったきめ細かな支援を図ることにより、給水・衛生状況の改善を通してより一層の地域の発展に貢献することが期待されます。

JICAはこれからもニアッサ州含めモザンビークにおける人材・社会開発を支えていきます。