「女性の経済的エンパワメント」、日本と中米・ドミニカ共和国で互いの取り組みを共有−国境を越えた取り組み強化に向けた協力を確認

2017年3月7日

「女性だから」という理由で、多くの開発途上国の女性たちは教育面や経済面など、さまざまな場面で不利な立場に置かれています。
−土地や財産、金融サービスにアクセスできない。低賃金で不安定な雇用しかない。家事労働や育児・介護を女性のみが担うために経済活動に参加できない−。

そんな不利な立場にある女性たちが経済活動に参加し、経済的自立を果たすことで尊厳を取り戻せれば、その影響は家庭にとどまらず、ひいては社会全体の生活向上に大きく貢献することが期待されます。

SICA(注1)地域と日本が共に考える女性のエンパワメント

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広島市を訪問したSICA加盟国の行政官

JICAは、「SICA−JICA地域協力(注2)」の一環として2015年6月にエルサルバドルにて「中南米地域広域ジェンダーセミナー」を開催し、2015年から2016年に当該地域における女性の経済的自立支援に関する調査を実施、今年2月にSICAを構成する8ヶ国からのジェンダー担当省庁などから行政官を日本に招き、お互いの取り組みを共有しました。

来日した行政官は、外務省武井俊輔外務大臣政務官、内閣府男女共同参画局や、農林水産省経営局就農・女性課女性活躍推進室などと日本の女性活躍推進に係る政策等について意見交換を行った後、日本独自の取り組みを視察するため、広島へ移動。
表敬訪問した広島市役所で、広島が戦後短期間で見事な復興を果たせた要素の一つに、女性が大きな役割を果たしていたと知らされ、内戦を経験したことのある行政官は、「自国でも内戦後の平和構築と社会再建を担ったのは女性の役割が大きかった」と述べていました。

その後、厚生労働省の定める女性活躍推進法「えるぼし」認定企業のオタフクソースを訪問し、一人一人が性別や個々の事情に関わらず能力を発揮できる環境整備のノウハウに興味深く耳を傾けました。

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広島で、様々な日本独自の取り組みを視察した行政官たち。(写真左から)。オタフクソース、フォレスト君田、せらにし特産品センターかめりあ

視察中、行政官たちが大きな関心を示したのは、「道の駅」の取組みでした。「道の駅」の基本コンセプトは「地域とともにつくる個性豊かなにぎわいの場」。

広島県東部に位置する「ふぉレスト君田」および「せらにし特産品センターかめりあ」、を訪問した際、女性が6次産業として生産・加工・販売を通して積極的にビジネスに参加している話を聞いたベルガラSIECA(注3)事務総長は、「農家の女性達が作った物をここで売り、地域コミュニティーが発展していくプロセスが参考になった。中米地域全体の政策に、道の駅をマスタープランに入れたい」と強い意欲を見せました。

またグアテマラ大統領府女性庁のラミレス副長官は、女性グループ『かめりあ』は、地元の農作物から商品を作ってビジネスをし、エンパワメントに繋がっている。私の国の女性たちにもそんなモチベーションを持ってもらいたい」と「道の駅」が地域に与える影響力に感銘を受けていました。

セミナーを通して、日本とSICA地域の取り組みを再認識

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基調講演を行うベルガラSIECA事務総長(左)、ゴドイSIECA経済統合顧問(右)は、地域の枠組みにおけるジェンダー分野の取り組みやエルサルバドル全土で50%以上の社員が女性である中小企業を対象に実施している「女性のファイナンスニーズに応える金融商品」で181人の受益者と355の雇用を創出したことなどを発表

「女性の経済的エンパワメント−中米地域及びドミニカ共和国における展望と課題−」と題して東京で開催されたセミナーでは、ベルガラSIECA事務総長らが地域の女性の現状と課題について発表。土地の購入や資金へのアクセスに、男性の合意が必要など、女性にしかない経済的自立への障害がある。社会的包摂に目を向けてほしいと語りました。

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宮崎桂(JICAジェンダー平等・貧困削減推進室長)(左)、大崎麻子氏(Gender Action Platform理事)(中)、大久保綾氏(ilo itoo代表)(右)

JICAからは、ジェンダー平等・貧困削減推進室長の宮崎桂が、ケニアの農村において、意思決定の場に女性の参加を義務付けることで男性の意識が変わっていった事例や、地元の農産物を活用し女性のビジネスを支援したマラウイの事例などを紹介しました。

「Gender Action Platform」の大崎麻子理事からはデジタル経済や技術革新の活用の本テーマにおける重要性、グアテマラと日本を繋ぐ女性企業家の視点から「ilo itoo」代表の大久保綾氏はマヤ系先住民の生産者と行うインクルーシブソーシャルビジネスについて発表を行いました。その後行われたパネルディスカッションでも、女性の経済的エンパワメントと経済・社会開発インパクトを囲む様々な点について活発な意見交換が行われました。

最終日には、各国からの参加者とJICAとの間で今後の取り組みが検討され、JICAは今後、SICA地域での女性の経済的エンパワメントに向けて、女性起業家支援に必要な人材を育成するための課題別研修や、地域の各国が連携しながら取り組みを推進するにあたって重要となる、モニタリング・評価の枠組みを作るための協力を行うことを確認しました。

男女格差については、日本も未だ先進国とはいえません。同地域とのネットワークを大切にしながら、共に女性が輝く社会を目指して支援を続けていきます。

(注1)中米統合機構:中米7ヵ国(エルサルバドル、グアテマラ、コスタリカ、ニカラグア、パナマ、ベリーズ、ホンジュラス)とドミニカ共和国の計8ヵ国で構成される、同地域の経済・社会の統合を推し進めるため設立された機構。

(注2)JICAは2001年からSICAへの地域協力アドバイザーの専門家派遣を開始し、2015年には、国境を越えた地域レベルの開発課題の解決に資する協力の実施を目的とした「SICA-JICA地域協力アクションプラン2015-2020年」を策定。同地域の経済・社会開発を支援する。

(注3)中米経済統合一般条約事務局

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