TICAD VIフォローアップ・イベント アフリカの構造転換を通じたSDGsの達成

2017年4月10日

概要

会議名:TICAD VIフォローアップ・イベント アフリカの構造転換を通じたSDGsの達成
TICAD VI Follow-up Event: Achieving the SDGs in Africa through Structural Transformation
開催日:2017年4月10日(月)13:15〜14:45
共催:JICA、国連日本政府代表部、国連開発計画(UNDP)、コロンビア大学Initiative for Policy Dialogue(IPD)
場所:米国・ニューヨーク 国連代表部

主な参加者

別所 浩郎 特命全権大使・国際連合日本政府常駐代表
北野 尚宏 JICA研究所長
ルビー・サンドゥ-ロジョン 国連開発計画(UNDP)アフリカ局副局長
ビアトリス・パクネガ・マナノ 国連アフリカ担当事務総長特別顧問室(UN-OSAA)政策分析・モニタリング部長
ジョセフ・スティグリッツ コロンビア大学教授
細野昭雄研究所シニア・リサーチ・アドバイザー
島田剛研究所招聘研究員 他

背景・目的

2016年8月にケニアで開催されたTICAD VIでは、サイドイベントの一つとして「産業政策を通じたアフリカの構造転換とアジェンダ2063の実現」が開催された。同イベントでは、アフリカ経済が抱える諸課題や、アフリカが今後どのように産業化を進めるべきかについて議論が展開された。
今回、TICAD VIでの議論を踏まえ、SDGsにも触れながらアフリカにおける構造転換について更なる議論を行うためのフォローアップ・イベントを開催した。
イベントは以下の3点を目的とした:
・アフリカにおける構造転換に向けた課題及び可能性についての議論
・GDPに代わる/補完する社会発展の計測方法についての検討
・JICA研究所及びコロンビア大学IPDの共同研究「Efficiency, Finance and Varieties of Industrial Policy」の書籍ローンチ(会場にて配布)

内容

イベント当日、会場は各国外交団及び国連職員の参加者で満席となり盛況した。冒頭、別所浩郎特命全権大使は開会の挨拶で、TICAD VIが目指す"Quality Africa"(質の高いアフリカ)を実現するために経済の構造転換が果たす役割に触れ、中長期のゴールを有するTICADの取り組みが、SDGs達成にも大きな貢献を果たすと強調した。
続く北野尚宏研究所長による基調講演では、最初に今次書籍の主題が、構造転換を実現するために、人材育成、インフラ開発、開発金融といった多様な産業政策を効果的に組み合わせて実施することにある点に言及した後、アフリカの構造転換を支えるJICAの取り組みとして、1)<ビジネス環境整備>のための産業政策の充実や100億ドル規模のインフラ開発支援、アフリカ開発銀行との民間セクター向け協調融資、2)<産業人材育成>のための小中学校の理数科教育や、KAIZENを通じた持続的な学習サイクルの職場での定着に向けた取組み等を紹介した。
スティグリッツ教授は、日本の東アジアの奇跡における大きな役割・知見を現代の途上国支援に反映するJICAの姿勢を高く評価した。また、構造転換を成功させるための政策のあり方に注目し、学び(learning)ながら先進国との知識のギャップを埋め、産業政策を計画し実施していくような学習社会(learning society)の形成に政府が果たす役割を強調した。
第二部のパネル・ディスカッションでは、島田剛研究所招聘研究員がモデレーターを務め、アフリカにおける構造転換をどのように達成し、またどのように成果を計測するかについて議論が交わされた。細野昭雄研究所シニア・リサーチ・アドバイザーは、一国の学習キャパシティに加え、ソフト・ハードのインフラや組織の能力強化が一国の比較優位の形成や構造転換に資するとし、途上国支援の文脈においても、産業政策等を通じて、当該国の比較優位を強化するような視点を国際社会が持つことが重要であるとした。パネル・ディスカッションのまとめでは、スティグリッツ教授が、アフリカの構造転換にとって学習社会の形成が重要である点を改めて強調するととともに、GDP上は順調な経済成長を成し遂げていた米国で格差や寿命短縮等の社会経済的な問題が生じていたことを一事例として、各国がGDPでは計測されない社会の厚生(well-being)に注目するべきことを提唱した。
本イベントを通じて、TICAD VIの方向性の一つである構造転換の重要性について、国連日本政府代表部や国際機関と共にメッセージを発信することができ、またスティグリッツ教授等の著名な研究者からJICAのアフリカ支援に対する高い評価を得たことは大きな成果であった。特にKAIZEN事業については繰り返し言及され、JICAの事業が研究に裏打ちされた成果を発現していることを発信することができた。

資料

関連リンク

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別所浩郎特命全権大使・国際連合日本政府常駐代表

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JICA研究所長

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スティグリッツ教授(コロンビア大学)

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パネルディスカッション。右端が細野シニア・リサーチ・アドバイザー、左端が島田招聘研究員(いずれもJICA研究所)