アフリカにおける農業セクターの取組を欧州の援助関係者に発信

2017年6月6日

概要

会議名:Africa Summit - Building resilient, inclusive and sustaibnable growth
開催日:2017年6月6日
主催:Friends of Europe(FOE)
場所:ベルギー・ブラッセル

主な参加者

2部構成の会合の第1部「Reconciling Urban and Rural」に、JICA農村開発部平岡洋専門員を始め、AU(アフリカ連合)、IFAD(国際農業開発基金)総局長、ウガンダ国務省、カメルーン及びケニアで活動するNGO、民間企業、民間銀行からの代表がパネリストとして登壇した。フロアには各国のEU代表部、国連機関、各国研究機関、NGO、民間企業から約200名が参加した。

背景・目的

Africa Summitは、在ブラッセルのシンクタンクFriends of Europe(FOE)がJICA、仏AFD、独GIZ、EIB、IFC、国連EU代表事務所の協力を得て開催したもの。アフリカの強靭で包摂的かつ持続的な成長について議論を行い、ビジョンの形成に役立てることを目的とする。第1部「Reconciling Urban and Rural」及び第2部「Investing in Africa's future」の2部構成で、第1部では地方及び農業の発展、都市との格差是正、民間企業活動の活性化、若年層の雇用機会という観点に焦点が当てられた。

内容

各パネリストから、アフリカの農業は大きな潜在力を持っているにもかかわらず、その発展のための十分な財の投入が行われていないこと、その理由の一つとして依然ガバナンスが良好ではないこと、市場の情報と生産者のリンケージが十分ではないこと等が指摘された。加えて、良質な保蔵施設といったインフラ、官の適切で迅速な役割の遂行、広域での協力の必要性も指摘された。平岡専門員からは関連するJICAの取り組み等、以下を骨子とするメッセージを発信した結果、参加者からは実務経験から導出された具体的かつ説得力のある視点が提供されたとのコメントがなされた。

日本のアフリカ開発への関与は欧米諸国と比して後発であるが、農業セクターの政策レベル・コミュニティレベルにおいて特徴ある取り組みを行っている。前者の例がCARDであり、2008年までの10年間でサブサハラアフリカにおけるコメ生産量倍増を目指し、アフリカ大陸の上位農業戦略に準拠した稲作セクターの開発戦略の策定と実施を23か国において支援し、また主要開発機関の稲作関連支援事業の調和化への取り組みを行っているものである。現在サブサハラアフリカは年間40億ドル程度をコメの輸入に使っており、従って地元米の振興は食料安全保障に寄与するのみでなく同等額の規模の産業を農村部に創出することであり、都市と農村の格差の縮小に大きく貢献することが期待される。その達成には、地元の小中規模の資本をベースにしたバリューチェーンを含め様々な規模・形態のagripreneursの参画が不可欠である。現在のところ、2018年のコメ生産量倍増の目標は達成の見込みであり、この結果を受けて2018年以降も対象国を更に拡大して取り組みを継続する予定である。

また、コミュニティレベルの活動はJICAの伝統的比較優位であるが、その中でもアフリカ小規模農民の収入向上に特化し著しい成果を挙げているのがSHEPアプローチである。このアプローチは従来の日本の技術協力特有の農村開発の手法を教育開発心理学の裏付けにより体系化し、活動初期の農民の動機付けと強固なオーナーシップの醸成、そしてバリューチェーン参加者間の信頼関係の醸成に重点をおいた支援を行うものであり、これにより開発効果が劇的に改善、'grow and sell'の農業生産者が'grow to sell'のagripreneurへと変貌を遂げ、ケニアでは小規模農家の平均収入が倍増した。この結果を受け、ケニア政府はSHEPアプローチを自己財源も活用してで全国展開する一方、2013年のTICAD5で安倍首相がアフリカ首脳の前でflagship approachとして紹介したことを受け、現在アフリカの23か国への広域展開を実施中である。この取り組みにより、小規模農家をベースとした農産物バリューチェーンのリスク及び取引費用の軽減が期待され、ひいては小規模農民の農産業への参画の推進に大きく寄与するものと思われる。

フロアからの質問に対するコメントは以下の通り。1)農業セクターの産業化は原料を安定的に国内から調達する限り、それそのものがレジリエンスを促進するものである、2)PPPの際の官民の役割分担はケース・バイ・ケースであり、特に脆弱国や紛争国では空白が生じやすい点に留意、3)アフリカの産業発展には短期的には外国資本導入による資本ベースの増大をしつつも、長期的に安定的な発展のためにはアフリカ人の自前の資本ベースの増大が肝要であり、ディアスポラ(海外在住者)による外貨流入はその点において非常に重要な役割が期待されている。

関連リンク

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パネルディスカッションの様子。左から二番目がJICAのアフリカにおける農業セクターの取組を説明する平岡専門員。

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イベント会場の様子。約200名の聴衆が参加。(FOEが公開している写真を引用)

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登壇者7名とモデレーターの集合写真。一番左が平岡専門員。(FOEが公開している写真を引用)