第3回世界復興会議

2017年6月8日

2017年6月6日から8日にベルギー国ブリュッセルにおいて、第3回世界復興会議が開催されました。
世界復興会議は世銀防災グローバルファシリティ(Global Facility For Disaster reduction and recovery)が主催し、東日本大震災が発生した2011年に第1回会合(ジュネーヴ)が開催され、2014年に第2回会合(ワシントンDC)が開催されています。
今次会合は、2015年3月に「仙台防災枠組2015-2030」が策定されてから最初の会合になります。JICAはこれまで大規模災害に対しては、緊急援助隊の派遣から復旧・復興、その後の開発まで切れ目のない支援(シームレス支援)に取り組むと共に、災害復興にあたっては、災害を契機により強い社会を構築する「より良い復興(Build Back Better)」のコンセプトを当事国と共有し取り組んできました。
またわが国は、2014年より「国際女性会議WAW!」を開催すると共に、2015年の第3回国連防災世界会議では「仙台防災協力イニシアティブ」を発表し、防災分野における女性リーダーの育成に取り組んでいます。
今次会合において、JICAは日本の防災の経験に基づき実施しているネパール地震の復興支援や、防災におけるジェンダーの取組みに関する経験を発信・共有しました。

スペシャルセッション:ネパールにおける震災復興

JICAは「仙台防災枠組」の策定にあたって、いつ発生するかわからない災害に対し、事前防災への予算配布が難しい途上国の現状、防災国際協力の予算の多くが災害後の復旧・復興に当てられている状況を踏まえ、災害発生後の復旧・復興において、同じ災害を繰り返さない、再度災害の予防という観点から「より良い復興(Build Back Better)」の重要性を訴え、仙台防災枠組の優先行動4「効果的な災害対応への備えの向上と、復旧・復興過程における「より良い復興(Build Back Better)」として結実しました。

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ネパール地震は、この「仙台防災枠組」が国連加盟国に承認された翌月2015年4月25日に発生しました。
JICAは発災直後から、国際緊急援助隊救助チーム・医療チームの派遣と連続して、今次被災地が地方が主であり首都カトマンズはそれほどの被害ではないため、他ドナーに先駆けて政府中枢との早い時期での復興方針の打ち込みが必要と判断し発災後5日目という異例の早さで復興支援チームの派遣、実施中の技術協力プロジェクトと連携した支援等に取り組むと共に、現地日本大使館・国交省専門家の協力も得ながらネパール政府と共に1ヵ月後には「Build Back Better」のコンセプトに基づく復興となるよう「Build Back Better Reconstruction Seminar for Nepal」を開催しました。又2ヶ月後の6月25日のネパール政府主催のドナー会合では世銀など他ドナーが復興資金需要のみに関心を持つ中、大使館、JICA協力のもと日本主導でBBB思想を打ち込む Technical Session を追加し田中理事長(当時)らも登壇し、ネパールの復興を牽引、支援してきた背景があります。
今次会合においては、ネパールの復旧・復興事業を現地で統括しているネパール事務所永見光三次長が登壇し、シームレスなJICAの取組み、日本の経験に基づく「Build Back Better」」の考え方による復興支援の現状について発信・共有をしました。

その中では、発災直後にJICAが独自に復興支援チームを配置し、混乱しているネパール政府を協力に支援したことが早期の復興活動の立ち上げにつながり、この結果として、地震に強い学校再建に向けた学校タイプ・デザイン、住宅再建に関する基準やマニュアル策定といった重要な貢献につながったことを紹介しました。これらの技術基準は政府や他の支援機関によって復興過程で実際に使用されており、JICAによるBBB実現支援の具体的な成果の一つとなっています。
あわせて、これらの技術協力は、その後の持続的な発展につながるよう、ネパール政府の能力向上を伴うものである点に留意して実施してきた点も強調しました。
また、復興には5〜10年という長い時間が必要であり、目の前の惨状に集中するだけでなく、より長期的な視点で持続可能な復興そして繁栄のあるレジリエントな社会の構築を目指す必要があります。BBBを目指す上では、科学的な手法で将来の災害リスクを把握することが極めて重要です。このためJICAは復興支援事業に並行し、首都圏のリスクアセスメント調査を実施してBBB実現に向け踏み出すと共に、今後は復興事業だけでなく、首都の強靭化など新たな防災施策の取組みにも繋がっていくことが期待されています。

また、復興はハードのみならず、人々の生活の再建が重要であり、コミュニティを通じたグループ再建方式により、輸送手段や石工などの限られた資源を柔軟に地域で共有し社会弱者を包摂していくことが、有効だとJICAは考えています。
コミュニティ支援を通じて、人々とコミュニティ、コミュニティと政府や社会といった各階層間の信頼関係を強化していくことは、短期的な復興促進にとどまらず、現在ネパール政府が行っている地方分権や連邦制実現にも長期的につながっていくものであり、復興過程を通じて、より持続可能でレジリエントな社会の構築をしなければなりません。

テクニカルセッション:女性とともに、女性のためのより良い復興

【画像】6月7日に開催されたテクニカルセッション「女性とともに、女性のためのより良い復興」には、田中由美子シニア・ジェンダー・アドバイザーが登壇しました。
モデレーターはナナ・リタ元ガーナ・ジェンダーと子ども社会保護省大臣が務め、パネリストとして、ヤニック・グレンマレックUN Women事務次長を、FOCUS Women(スリランカ)、サヘルの環境に関わるナショナル・プラットフォーム、EC人道開発・移民局次長などが登壇しました。
田中由美子シニア・ジェンダー・アドバイザーはパネリストとして登壇し、コミュニティ防災の観点から、東日本大震災後の女性が直面した問題とその対策、JICAが実施している国際防災協力とジェンダーなどについて紹介しました。
この中で、国内における好事例として、宮城県気仙沼市の大谷海岸の防潮堤建設での合意形成、宮城県石巻市における「にっこり団地」の復興まちづくり、女性の地域防災リーダー研修や、千葉県流山市における予防防災の取組、熊本県の建築家による避難所の間仕切りや、女性に対する暴力対策ホットライン、男女共同参画視点からの避難所マニュアルなども紹介しました。
またJICA事業の具体事例として、スリランカにおけるインド洋大津波後の支援、フィリピンで台風ヨランダ復興における女性生計向上支援、ネパール地震後の女性組合や生計支援、ジョージタウン大学との共同研究、ジェンダー・多様性からの防災研修などの取組みを紹介しました。
登壇後はアジア・アフリカの参加者から多くの質問が寄せられ、災害における女性リーダーの役割や防災とジェンダーに関する関心の高さが窺われました。

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