タイの介護サービス開発の経験を、周辺諸国に共有

2017年6月9日

急速に高齢化が進むタイ。総人口6,593万人のうち65歳以上の高齢者が666万人と、全体の10.1%を占める「高齢化社会」に突入しており、2022年には同割合が14%を超え、「高齢社会」に突入すると予測されます。こうした状況をふまえ、タイ政府は、介護サービス、年金制度の拡充、高齢者の活用など高齢者支援策の検討を進めています。

中でも介護サービスは、日本のケアマネジメントシステムを参考に検討が行われてきました。JICAは、要援護高齢者等のための介護サービス開発プロジェクト(以下、LTOP)によりタイのコミュニティでの介護サービスの仕組みづくりを支援してきました。パイロットサイト6か所では、ケアマネージャーが新たに導入され、ケアマネージャーが作成するケアプランに基づき、ケアワーカー、医療関係者、自治体関係者、ヘルスボランティア、家族介護者が高齢者の介護にあたっています。タイ政府は、この仕組みをベースとした介護サービス制度を2016年に導入。この制度のもと高齢者介護サービスが一部の地方自治体で実施されつつあります。

このようなLTOPの経験を今後高齢化が進むASEAN諸国等と共有するため、「介護に関する域内セミナー(Regional Seminar on Long-term care)」が、2017年6月7日〜9日バンコクにて開催され、ASEAN域内国からはシンガポールを除く8ヵ国とモンゴル、スリランカから高齢者医療並びに高齢者福祉の担当窓口省庁から総勢22名の出席がありました。現在、どの国もタイほど高齢化率は高くありませんが、今後の人口動向を踏まえると高齢化対策は喫緊の課題です。

セミナーにおいては、プロジェクトが地域社会で高齢者を支えるために取り組んできた状況を伝えるだけでなく、各国からの参加者を交えて自治体や病院関係者、中央政府、地域のボランティアなどがどのような役割を担っていくのかなどが議論されました。また、現場視察ではLTOPのケアマネージャーやケアワーカーの活躍ぶりを視察しました。

多くの参加者から、自国でもぜひこのケアマネージャーやケアワーカーの仕組みを導入したいとの声が聞かれたほか、既にデイケアセンターを導入しているミャンマーからの参加者は、サイト視察を通じ、その組織的・人的ネットワーク構築や具体的に取り組まれている活動を是非自国での参考にしたいとのことでした。

また、参加各国の中で比較的高齢化の進展が早く、今後JICAによる高齢化対策案件の実施が予定されているスリランカからの参加者は、人材育成に関し、日本での研修だけでなく、自国の実情が地理的また文化的にも近いタイからも、より多くの人材を効果的に育成できるよう、学びたいとの声がありました。

このように、今後も、介護サービスについてASEAN諸国等が学びあえる場として、タイの果たす役割は大きいと思われます。今回の域内セミナーが、そのためのきっかけになることを、プロジェクト関係者一同、期待しています。

関連リンク

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10ヵ国からの参加者22名とLTOP関係者が一同に。

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タイ保健省Dr.パーキーによるによる高齢者政策についての概要説明

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厚生労働省国際課大鶴課長による超高齢化社会における持続可能な長期ケアについて発表

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セッション2:『ケアのマネジメント』セッションでの長谷川短期専門家による発表

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セッションに聞き入る出席者

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ラウンドテーブルセッションの様子−野口短期専門家とスリランカ&タイの代表者、JICAボランティアが積極的に議論に参加

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ノンタブリサイトにてサイト代表者からケアの状況について聞き入る参加者

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視察中、意見交換を行うモンゴル代表者とフィリピン代表者