「科学と開発をつなぐブリッジ・ワークショップ」−SATREPSの研究成果の発表と開発協力とビジネスでの活用に向けて

2017年8月28日

概要

会議名:科学と開発をつなぐブリッジ・ワークショップ 「会って・驚いて・役立てる」
開催日:2017年8月28日(午前の部と午後の部に分けて実施)
共催:国際協力機構(JICA)、科学技術振興機構(JST)、日本医療研究開発機構(AMED)
後援:国際連合工業開発機関(UNIDO)東京事務所、国際協力NGOセンター(JANIC)、一般社団法人Japan Innovation Network
場所:JICA市ヶ谷ビル国際会議場

主な参加者

登壇者(発表研究者)

午前の部(環境・低炭素社会・防災領域)

  • 中村 崇 琉球大学 理学部 准教授
  • 水野 亮 名古屋大学 宇宙地球環境研究所 教授
  • 白井 義人 九州工業大学 大学院生命体工学研究科 教授
  • 金田 義行 海洋研究開発機構 地震津波海域観測研究開発センター 上席技術研究員

午後の部(生物資源・感染症領域)

  • Prihardi Kahar 神戸大学 大学院工学研究科 特命助教(研究代表者代理)
  • 河瀬 眞琴 筑波大学 生命環境系 教授(研究代表者代理)
  • 山内 章 名古屋大学 大学院生命農学研究科 教授
  • 高田 礼人 北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター 教授

参加者(民間企業・コンサルタント・NGO・財団法人・国際機関・大学・研究機関など)

午前の部 89名
午後の部 89名

背景・目的

2015年9月、国連で世界共通の開発目標としてSDGs(持続可能な開発のための2030アジェンダ)が採択され、科学技術分野においても、科学技術による変革やイノベーションを通じてSDGsの達成に寄与することが一層求められるようになった。

JICAとJST(2015年度よりJSTが担っていた感染症分野がAMEDへ移管)は、SDGsの採択に先立つ2008年から、日本の科学技術とODA(政府開発援助)を連携させるプログラムとして「地球規模課題対応国際科学技術協力(SATREPS:サトレップス)」を共同で開始した。この事業は、日本と開発途上国との国際共同研究を振興するとともに、研究成果の社会生活へ活用(社会実装)を目指すものであり、環境、低炭素社会、防災、生物資源、感染症の5領域を研究対象として、現在までに47ヶ国で125案件が実施されている。

今回、科学技術の成果を開発協力やビジネスにつなげ、SDGsへの貢献をより推進することを目的に、初の試みとして今年度に最終年を迎えた8件のSATREPS案件の研究代表者が、開発協力従事者や企業関係者に向けてその研究成果を紹介し、双方が意見交換するためのワークショップを開催する。開発協力従事者や企業関係者が、開発途上国の課題解決に挑む研究者に会って、新しい技術や知識に驚いて、開発協力やビジネスの中で役立てる機会を提供する。他方、研究者へは、開発協力従事者や企業関係者との交流を通じ、研究成果の更なる社会実装への着想を広げる場を提供するものである。

内容

【画像】

ブリッジ・ワークショップ会場

午前の部は、環境領域からパラオ(琉球大学中村准教授)とアルゼンチン・チリ(名古屋大学水野教授)の2案件、低炭素社会領域からマレーシア(九州工業大学白井教授)案件、防災領域からトルコ(海洋研究開発機構金田上席技術研究員)案件から各研究概要と成果が発表された。午後の部は、生物資源分野であるインドネシア(Kahar特命助教)、メキシコ(筑波大学河瀬教授)、ケニア(名古屋大学山内教授)の3案件と感染症分野であるザンビア(北海道大学高田教授)案件から同様に発表が行われた。発表されたSATREPS案件の名称は、資料にある「ブリッジ・ワークショップ・スケジュール」を参照のこと。

発表後の研究者と聴講者との意見交換や事前・事後のアンケートを通じて、SATREPS案件の研究成果をSDGsへつなげる方策が活発に議論された。その中で出されたいくつかの意見を以下に列記する。

  • 科学技術においても低コストで維持管理が容易な技術開発を目指すべき。
  • 研究成果のビジネスモデル化調査が必要。
  • IoTや情報技術の活用を推進すべき。特に途上国に広く普及している携帯電話やスマートフォンを活用すると社会へのインパクトが大きくなる。
  • 途上国の生物資源利用には研究段階からの官民連携が有効。生物多様性条約や名古屋議定書を遵守した遺伝資源の取扱いには、研究協力を通じて構築された相手国の信頼が必要。
  • 研究成果が上がった案件に対しては社会実装を目的とした第2フェーズや他の支援を実施すべき。
  • 研究成果を同じ課題を有する他国や周辺地域に横展開することが効果的。
  • SDGsとの関連性を研究計画の時期から明確に意図すべき。
  • 研究に活用する機器や技術などで日本企業との連携を進め、日本技術の標準化を図るべき。
  • 研究成果を広く情報発信するための工夫が必要。

今後に向けて

今回のワークショップを通じ、開発協力従事者や企業関係者が開発途上国で実施されているSATREPS案件の研究成果に高い関心があることが認識され、また、これらの関係者から研究者へのインプット(提案・意見等)は研究成果の社会実装に向けた検討の参考になることも確認された。一方でSATREPSの研究成果をSDGs達成に向け更に活用するためには、関係者間の連携をはじめ未だ多くの課題があることも確認された。そこで、今後も、研究者、開発協力従事者、企業関係者らが科学と開発をつなぐための議論を継続していくこととなった。

資料