JICA在外事務所長が途上国の今を語る

2017年9月7日

開発途上国の質の高い成長やSDGs(持続可能な開発目標)の達成には、民間企業や民間資金の存在が不可欠になりつつあり、JICAは、各国・地域の拠点で有する海外の現地情報や豊富なネットワークを活かし、開発途上国での事業展開を検討される企業の支援にますます積極的に取り組んでいる。

そのような背景のもと、JICAは、9月7日(木)、各国の事務所長が東京に集まる在外事務所長会議の機会を利用し、民間企業を対象としたセミナー「JICA事務所長による途上国現場レポート」をJICA本部(東京都千代田区)で開催した。

セミナーでは、まずJICAの民間連携にかかる最新動向について報告した後、東南アジア(ミャンマー、カンボジア、フィリピン)、中南米(キューバ)、南アジア(バングラデシュ、スリランカ)、アフリカ(コートジボワール、タンザニア、ケニア、モザンビーク)の10ヵ国の事務所長から、各国の政治・経済状況、JICA支援の方向性や取組を報告し、現場から見た途上国の今を伝えた。

今回のセミナーで民間企業から注目を集めた国の一つが、キューバ。カリブ地域で最大の国土と人口を持つキューバは、1959年のキューバ革命によって樹立した政権が今日まで続く社会主義国家で、社会主義体制の原則を維持しつつも、経済・社会に関する現代化を進めていく取組が進められている。キューバは、革命以来続く米国の経済封鎖等で深刻な物資不足に直面する一方、識字率の高い人的資源を有し、今後成長を遂げる潜在性がある。JICAでは、「農業開発」と「持続可能な社会・経済開発」を重点分野に掲げ、「農業開発」で食糧増産、米を中心とした自給率向上に取組、「持続可能な社会・経済開発」では、環境保全や官民連携型の協力も期待できる保健医療分野(医療機器の整備)での協力を推進している。JICAキューバの小澤正司氏は、「キューバのように社会主義体制を維持する国においては市場が十分に形成されておらず、種々の支援に難しさはあるが、だからこそ新たな協力やビジネスの手法が必要な国。特に、日本企業が独自に参入する難易度が高い分、日本ブランドの中継ぎ役としてODAを呼び水的に活用するといった方策は有効」と語った。

3時間15分という限られた時間の中で行われたため、各国からの発表は駆け足にならざるを得なかったが、当日は雨にもかかわらず総勢260人もが来場。開発途上国への日本企業の関心の高さを物語っていた。

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260名もの企業関係者が集まり、各国事務所長の現場の声に熱心に耳を傾けた

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JICAキューバの小澤正司氏