「新興女性企業家フォーラム2017−“女性企業家”はSDGs達成の鍵となるか?−」を開催−女性の潜在能力の発揮に向けて

2017年12月4日

2017年12月4日、JICAは日本財団とともに「新興女性企業家フォーラム2017−“女性企業家”はSDGs達成の鍵となるか?−」を開催しました。本フォーラムは、11月に開催された「国際女性会議WAW!(WAW!2017)」の公式サイドイベントとして実施したもので、本フォーラムを含むプログラム全体については「アジア女性社会起業家ネットワークAsian Women Social Entrepreneurs Network(AWSEN)」が企画・運営を行いました。本フォーラムは、「誰一人取り残さない」世界の実現に向け、SDGsのゴール1(貧困撲滅)、ゴール5(ジェンダー平等)、ゴール8(経済成長・雇用)、ゴール17(パートナーシップ)に関連する企画とし、会場となった渋谷ヒカリエには、金融やメディア等の民間企業、NGOs、開発コンサルタント、大学・大学院生や高校生など、女性による起業に関心を寄せる総勢100名が集まり、アフリカ、アジア、日本の女性企業家が繰り広げたディスカッションに熱心に耳を傾けました。

「女性企業家はSDGs達成の鍵となる!」−多様なビジネス展開による女性のエンパワメント

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パネルディスカッション1
ザンビアのグェンドリンさんによるプレゼンテーション
写真提供:望月小夜加(AWSEN)

パネルディスカッション1では、小安美和さん(株式会社Will Lab代表取締役)をモデレーターに迎え、「SDGs達成に向けた女性のエンパワメント」について議論を行いました。ベトナムの貧困層や社会的弱者のために職業訓練や就職斡旋を行うファム ティ タン タムさん(Executive Director, REACH)は、動画を用いて障害を持つ女性がREACHの職業訓練を受け、グラフィック・デザイナーとなった事例を紹介し、本人の努力と機会があれば、誰もが夢を実現できることを強調。ザンビアのグウェンドリン ムレンガ マチヤさん(CEO and Managing Director, Fayfabrics Ltd., 元JICA研修員)は、90年代に一度消滅したザンビアのテキスタイル産業を自らのビジネスで復興させると意気込み、綿花の栽培から3Dプリンターを使用した布地への模様印刷まで、一連の作業をザンビアの女性とともに開始していることを紹介。「女性は創造性、共感性に富み、多様な視点を持つ共同クリエイター。女性が本来持つ力を存分に発揮できるよう、制度や環境を整えることが大切。」と会場にメッセージを送りました。また、東北の気仙沼で藍染ビジネスを展開する藤村さやかさん(インディゴ気仙沼代表)は、震災後の気仙沼で子育て中の母親の働く場が非常に限られていた現実に直面したことをきっかけに、短時間でも利益を生み出せるビジネスの仕組みを考えたこと、また、伝統的な価値観にとらわれず、新しい発想の藍染を生み出していることなどの紹介がありました。

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パネルディスカッション2
ガーナのジョージナさんによるプレゼンテーション
写真提供:望月小夜加(AWSEN)

パネルディスカッション2では、浜田敬子さん(Business Insider Japan統括編集長)をモデレーターに迎え、「SDGs達成に向けたパートナーシップ」のテーマのもと議論を行いました。土着の食文化に着目し、52000戸の農家と協働しながら700の商品を21か国で販売するインドネシアのヘリアンティ ヒルマンさん(Founder and CEO, JAVARA)からは、「課題が生じるたびに、それを解決するための方策や、ビジネスモデルを作り上げてきた。ビジネス展開の秘訣はユニークな商品を世に出すこと。企業家は、“Challenge”を愛さなくてはならない。」と説明。ガーナで地元の農家とオーガニック農法にこだわり、ジャムやジュース、シアバターを生産するジョージナ コムソンさん(Founder and CEO IPF + KROMS Productions, 元JICA研修員)は、「女性が収入を得ることで、家庭、社会に良い影響が出ていることを、日々目の当たりにしている。西アフリカで初めて自社の商品がオーガニック認証を受け、従業員たちの士気も高まった。当然ながらビジネスは慈善事業と異なり、利益を自ら生み出し、事業の持続性を意識することが必要。」と語りました。また、花形照美さん(株式会社リクルートホールディングス 地方創成プロジェクト エクゼクティブマネージャー)からは、日本の農業振興支援として、和歌山県有田市のみかん産業の事例の紹介がありました。ディスカッション後の質疑応答では、会場から民間企業とNGOのパートナーシップの在り方等について質問が投げかけられ、それぞれの強みを生かした連携のための意見交換や情報共有の場が必要との意見も出されました。

本フォーラムでの議論は、女性による起業、ビジネスが、社会や国を越えて新しい価値や市場を生み、地域や社会の活性化を大きく後押しするものであることを感じるひとときとなりました。また、SDGsの達成に向け、会場の参加者一人ひとりが今後のそれぞれの取り組みを考える機会となりました。

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フォーラム登壇者の皆様と主催者で集合写真
写真提供:望月小夜加(AWSEN)

ビジネスの秘訣を探しに、地方の企業家を訪問

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(株)ラポールヘア・グループ早瀬社長より説明を受けるザンビアのグウェンドリンさんとベトナムのタムさん
写真提供:望月小夜加(AWSEN)

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宮坂醸造の前で集合写真
写真提供:古厩志帆

本フォーラムに先立ち、11月28日には仙台市(宮城県)、11月29日には上諏訪市(長野県)にて関連のフォーラムを開催。仙台市では、「女性の力と新たな働き方−地域ニーズを生かした働き方と事業創出−」、上諏訪市では、「海外の女性企業家に学ぶ−地域資源のさらなる活用の可能性−」をテーマに議論しました。上記フォーラムの前後では、各地域の日本の企業家を訪問。仙台市では、震災後に起業された株式会社ラポールヘア・グループの美容室を見学し、キッズルームや保育士の常駐、柔軟な雇用形態など、震災後の社会課題に対応した新しい形の美容室経営を学びました。また、上諏訪市では、1662年から続く老舗酒造屋 宮坂醸造を訪問。ろ過の必要ない高純度かつ高品質な地元の天然水を用いた日本酒の製造プロセスを視察し、地元の資源を活用したビジネスを視察しました。地域に根差したビジネスの在り方は、アフリカやアジア発のビジネスとも共通点があるのかもしれません。

一連のフォーラムに登壇したアフリカ、アジアの企業家は、今回の滞在のなかで出会った日本の企業家等からビジネスパートナーを紹介されるなど、着々と次のビジネス展開を見据え、アイディアを膨らませています。JICAも女性企業家への協力(女性の経済的エンパワメント)を通じ、引き続き、SDGsの達成に向けて積極的な取り組みを進めていきます。

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東北気仙沼では、フォーラムにも登壇された藤村さんの藍染め工房にてワークショップを体験
写真提供:望月小夜加(AWSEN)