Women, peace and security(パネルディスカッション)

2018年3月7日

概要

会議名:Women, peace and security(パネルディスカッション)
開催日:2018年3月7日
主催:Friends of Europe(FOE)
場所:ベルギー・ブラッセル

主な参加者

パネリストとして、JICAより久保田真紀子国際協力専門員、欧州議会防衛と安全保障に関する小委員会副議長、独GIZ平和構築・災害管理アドバイザー、南スーダンのNGOであるAVSI Foundationの代表が登壇。フロアには各国のEU代表部、国連機関、各国研究機関、NGO、民間企業等から約90名が参加した。

背景・目的

国際女性の日(3月8日)にちなみ、在ブラッセルのシンクタンクFriends of Europe(FOE)がJICA、仏AFD、独GIZ、EIB、国連EU代表事務所等の協力を得て開催したもの。紛争国の平和構築や安全保障において女性の果たすべき役割を再認識し、関係者の意識を高め、新たなメッセージを欧州内外に伝えることを目的として開催された。

内容

各パネリストから、平和構築と持続的な社会の安定において女性の影響力は大きく、ここ数年で女性の政治的意思決定のプロセスへの参画の状況は改善されているものの未だ十分ではないこと、国際協力のプログラムの中でも女性のエンパワメントが占める割合が小さいこと、若者の過激化を抑止する上で女性の役割は大きいが伝統的コミュニティの中で女性の社会参加が阻まれ、その能力が十分に活用されていないこと等が指摘された。その上で、世界的な安全保障の向上と女性を取り巻く課題解決が緊密に結びついていることを国際社会が一層認識する必要があること、長期の取り組みを地道に継続する必要があること等についても言及があった。久保田専門員からはアフガニスタンにおけるJICAの女性警察官の能力向上支援の取り組みを踏まえ、以下を骨子とするメッセージを発信した。その結果、参加者からは実務経験に基づく具体的かつ説得力のある指摘が提供されたとのコメントがなされた。

近年、アフガニスタンで警察官になることを選んだ女性達の多くは、自分の人生を自身で切り開くとともに平和な社会づくりに貢献していくことに対して強い意欲を持ち、様々な戦略を駆使して実際に行動を起こしてきている主体性の強い女性達である。多くが貧困世帯の出身であるが、彼女たちが警察官という道を志したのは、単に経済的な動機に留まらない。女性の職業選択の自由や社会参加の機会が限られているという現実の中で、女性達は女性警察官の採用機会を自らの社会進出を後押しする契機として捉えていた側面がある。さらに、女性の平和と安全、人権が守られる社会づくりに貢献したいという強い意志とともに警察官として働く道を選択してきている女性達も少なくない。こうした女性達による暴力や差別のない平和な国づくりに向けた強い意思や行動を後押ししていくことは、アフガニスタンの平和に向けた社会変革につながる重要な取り組みである。私達はこうした女性達の能力強化と参画・リーダーシップの推進を後押ししていく必要がある。

他方で、支援を実施する際には、こうした女性達の主体性の中には脆さが潜んでいることにも留意する必要がある。JICAが実施した調査では、調査対象である女性警察官の49%が、性暴力やDVなどの暴力被害を自身で経験しており、大きなトラウマを抱えている者も多かった。そのため、アフガニスタンに限らず、紛争影響地域における女性警察官の能力強化を支援する際には、彼女たち自身の暴力被害の経験からの自己回復のプロセスを支援していく取り組みを含めることも必要である。彼女達の経験に寄り添いつつ、「被害者」から「支援者」への変容を後押ししていく視点を持って支援を進めることが重要だろう。自身が暴力や差別を経験した女性達が、「支援者」として成長していく過程を支援することは、他の被害女性達の救済において非常に有効な取り組みでもある。また、女性達に沈黙を強いる社会ではなく、女性達が起きている問題について声をあげ、平等に参画していく社会づくりにも大きく貢献するものでもある。女性の経験と声を治安改革のプロセスに反映させていくことは、真に平和で安全な社会構築に向けて不可欠であり、女性はそのための能力、強い意志、そして行動力を持っている。私達は女性警察官達の声や経験を丁寧に聞きながら、彼女達がその能力とリーダーシップを十分に発揮できる環境整備や社会変革を進めていく必要がある。

フロアからの質疑応答を通じ、以下の諸点が共有された。

  • 女性が異なるコミュニティの間を繋ぐ能力を持っていることに基づき、紛争予防や紛争後の安定化に積極的に参加する潮流を作ることが必要。
  • 国際協力における女性のエンパワメント支援では、教育の充実と共に平和構築のような社会活動において女性を活用する仕組みを考案することが必要。
  • 子供の教育の底上げや過激化の阻止等の観点から、コミュニティにおける母親の役割を一層重視することが必要。
  • 国や関係する組織の予算編成の際に「女性」を明示した予算項目を設定すべき。
  • コンゴ民主共和国、ブルンジの参加者から、これらの国々では人権の概念は未だに低く、女性が日々暴力やレイプの被害にあっており状況は改善されておらず、国際社会はこうした現実に目を向けるべきとの発言があった。

関連リンク

【画像】

パネルディスカッションの様子。一番左がアフガニスタンの女性警察官の能力向上支援について説明する久保田専門員。