2018年4月26日
会議名:ネパール震災3周年記念セミナー「より良い復興から防災へ:公助と共助の役割」
開催日:2018年4月26日
主催:復興庁とJICAによる共催
場所:ネパール、カトマンズ市内
主な登壇者:
ユバラジ・ブサル氏(復興庁 長官)
ケダール・ネウパネ氏(内務省 防災担当局長)
タペンドラ・カドカ氏(復興庁 住宅再建プロジェクトディレクター)
チリバブ・マハルジャン氏(ラリトプール市長)
安達一氏(JICA社会基盤・平和構築部部長)
竹谷公男氏(JICA上席国際協力専門員)
主な参加者:
政府関係者、各国大使館、国連・ドナー援助機関、学界、NGO、メディア等約180名
2015年4月25日に発生したネパール大地震の3周年を記念して、過去3年間の震災復興の進捗と教訓を共有する場としてセミナーが開催された。特に3周年の今回は、単なる進捗報告に留まらず、今後の復興をさらに加速し得るような教訓の抽出や成功例の紹介に主眼が置かれると同時に、中央・地方レベルでの防災への取組みを強化することの重要性が討論された。
約9千人の死者を出した2015年のネパール大地震から3年が経った2018年4月26日、カトマンズで復興庁主催、JICA支援による震災3周年記念セミナーが開催された。今回で3回目になるセミナーでは、復興庁による全体的な進捗報告に加えて、政府による公助の仕組みを補完して効果を高める「共助」の概念を取り上げ、その成功例と言える2つのJICA支援による事例が紹介された。そのうちの一つは、近隣住民による共助グループを組織し、専属の石工を各グループに配置するコミュニティー型住宅再建モデルで、このJICAモデル展開地域では、他の地域に比べて着工率、完工率共に2倍以上に伸びていることが注目された。
また、震源の村で女性組合を結成し、その組合を基盤として生計回復活動を支援することで、被災地での経済的・社会的な復興を促進する事例も紹介された。復興庁からは、住宅やインフラの再建といったハード面だけでなく、文化、経済、社会、そして心理的といったソフト面の復興ニーズにも対応する必要があることは既に「災害後復興枠組(PDRF)」に明確に記述されていることが説明され、震災復興への包括的な取り組みの重要性が改めて強調された。
さらに、「より良い復興(Build Back Better)」を推進すると同時に、将来の災害に備えて特にカトマンズ盆地での首都機能を強化する必要が高いことがデータで示された。また、都市部でのレジリエンスを促進するためには、中央政府だけでなく、地方自治体レベルから防災計画を策定し、計画に基づく長期にわたる防災への事前投資を続ける必要性が強調された。
(右から)ユバラジ・ブサル復興庁長官、ビシュマ・ブサル復興庁副スポークパーソン、ケダール・ネウパネ内務省防災担当局長、小川正史特命全権大使、安達一JICA社会基盤・平和構築部部長(オープニングセッション)
犠牲者に黙とうを捧げるセミナー参加者(オープニングセッション)
ケダール・ネウパネ内務省防災担当局長による防災ガバナンスと首都強靭化の発表
パネルディスカッションでは竹谷公男上席国際協力専門員がモデレーターを務めた
佐久間潤JICAネパール事務所長による閉会の挨拶