2018年5月3日
会議名:日・アフリカ官民経済フォーラム2018サイドイベント「アフリカの持続的な経済成長に向けた若年層の雇用機会の促進」
開催日:2018年5月3日(木)
主催:国際協力機構
場所:南アフリカ共和国、ヨハネスブルク、サントンコンベンションセンター
アフリカ大陸の人口は増加を続け、2050年までに25億人に達し、そのうち労働人口は16億人になると推定されています。これはビジネス市場として魅力的である一方、雇用を創出していかなければ失業者が溢れる問題を抱えています。上記を踏まえ、JICAは日本政府が主催して開催する「日・アフリカ官民経済フォーラム2018」のサイドイベントとして本イベントを開催し、アフリカにおける若年層の雇用について、産業人材育成、雇用創出の観点から、雇用者側、労働者側の二つの視点に立ち、政府、開発金融機関、JICAが提供する支援やそれぞれ直面する課題について知見を共有しました。
南アフリカにおける若年層の雇用の課題として、産業界が求める人材の需要と教育界からの供給に不一致があると考えられています。これらの課題に対して、まず、南アフリカ高等教育・訓練省傘下の国家技能機構事務局長代行ターボ・マションゴアネ氏は、同国が抱える雇用者側が望む能力と労働者の能力の差を最小化することを目指した政策と取り組み、また政策実施のために南アフリカが有する資金調達制度等を発表しました。また、同じく南アフリカ高等教育・訓練省派遣のJICA専門家である飯田護氏は、JICAが同国7大学での導入を支援している産業人材育成研修プログラムを紹介し、大学教育においては知識の向上のみならず、理論的思考や問題解決能力等のソフトスキルの向上を目指すことが重要である旨指摘しました。「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABEイニシアティブ)」によって日本に留学した帰国生によって設立されたネットワークである「KAKEHASHI Africa」の代表者であるボンギンコシ・ムトンベーニ氏及びンランデリ・アーネスト・ドゥラミニ氏からは、アフリカ諸国に進出する日系企業と連携した人材マッチングやコンサルテーションを行う活動を始動させていることを紹介しました。次に、南部アフリカ開発銀行(DBSA)カバレージ部大・中規模都市インフラ・水セクター担当課長シェポ ンスティマネ氏は、金融機関の視点から、若者を含む多くの雇用を生み出す可能性を持つSMEs(中小企業)の南アフリカにおける現状と、これに対する資金需要に対して金融機関がどのように取り組むべきかを示しました。会場参加者からは、各発表内容への個別の質問に加えて、労働者(若者)のソフトスキルの重要性について注目が集まりました。南アフリカでは、他のアフリカ諸国と比較して技術力の点では一日の利があるとされていますが、マネジメント能力や周囲とのコミュニケーション等のソフトスキルの向上が、さらなる生産性の向上、経済成長につながる重要な要素であるなど、参加者間で活発な議論が行われました。最後に、閉会の挨拶を行ったJICAの加藤宏理事は、経済発展を遂げた日本の教訓やアフリカの経験を相互に共有し、日本・アフリカの連携の深化をさせていくことが重要であると呼びかけました。
ABEイニシアティブ帰国生によって作られた団体Kakehashi Africa
質疑応答時の会場風景。南アの雇用創出、教育の質向上という点について議論が白熱した。
加藤宏理事による閉会の辞。左は雇用適性改善プロジェクト(EIP)に関わる飯田護専門家。
南アフリカ共和国 高等教育・訓練省(DHET)職員、JICA専門家、ABEイニシアティブ 帰国生、南部アフリカ開発銀行(DBSA)職員、加藤宏理事、関南ア事務所所長、司会