第一回アフリカ・インフラセミナー「タンザニア国 ダルエスサラーム都市交通マスタープラン改定プロジェクト」

2018年6月7日

概要

セミナー名:第一回アフリカ・インフラセミナー「タンザニア国 ダルエスサラーム都市交通マスタープラン改定プロジェクト」本邦企業向け説明会
開催日:2018年6月7日(木)
主催:JICA社会基盤・平和構築部
場所:JICA市ヶ谷国際会議場

背景・目的

タンザニアは過去15年にわたり平均6%以上の経済成長を遂げ、且つその安定した政情と豊富な資源により、将来も高い成長のポテンシャルを有している国の一つです。そしてダルエスサラームはタンザニアの経済・商業の中心地であると共に、内陸諸国にとってインド洋側の玄関口として、重要な役割を担っており、JICAは2008年に「ダルエスサラーム総合都市交通体系策定調査」を実施し、2030年を目標年次とする都市交通マスタープランを策定しました。
しかしながらその後のダルエスサラーム市の人口の増加は著しく、当初の予測を上回るペースで人口増加が続いており、2030年には1,000万人に達すると予測されています。それに伴い年々悪化する市内の交通渋滞の問題は、タンザニアのみならず内陸国への流通にも影響を与えています。そのためタンザニア政府は、日本政府に対し、ダルエスサラームにおける都市交通マスタープランの改定にかかる支援を要請しました。
本セミナーは、来年に予定されている第7回アフリカ開発会議(TICAD VII)を見据え、上記の経緯より2016年より開始された「ダルエスサラーム都市交通マスタープラン改定プロジェクト」の成果を共有することを目的に開催されました。

内容

本セミナーには、在京タンザニア連合共和国特命全権大使を始め、タンザニア国政府団、日本政府、本邦企業各社より80名を超える参加者の出席がありました。セミナーでは、加藤宏JICA理事、マチアス・チカウェ在京タンザニア連合共和国特命全権大使からの開会挨拶に続き、タンザニア政府団を代表して国立交通研究所長であるザチャリア・ンガニルワ教授より、ダルエスサラーム都市交通分野における投資機会について説明がありました。その中ではダルエスサラーム市における現在の交通問題及びその解決に向けたタンザニア政府による取り組みについて説明がなされると共に、今回改定される新しいマスタープランを踏まえ、本邦企業による参画・タンザニアへの投資についての期待が述べられました。
続いて、拓殖大学国際学部・徳永達己教授より、日本企業にとってのタンザニアの魅力と社会経済状況について発表がありました。この中では、政情の安定、立地性、豊富な天然資源、市場の大きさ等、投資の観点からのタンザニアの魅力について、また有望な投資分野について説明がなされました。そして「ダルエスサラーム都市交通マスタープラン改定プロジェクト」の中世古篤之総括(株式会社エイト日本技術開発)より、交通需要の動向・今後の予測、新しいマスタープランの概要とその中で提案された各種プロジェクト、そしてマスタープラン実現に向けた実施計画及びその経済評価について発表がありました。
その後の質疑応答では、タンザニアにおける土地政策及び調達制度、本マスタープランにて提案された交通関連プロジェクトの今後の見通しと詳細内容等について参加者より質問がなされました。
マスタープランの概要については、4月のダルエスサラームにける現地セミナーにてタンザニア関係者に共有されていましたが、本邦企業向けに今回の説明会を開催する旨をタンザニア政府に説明したところ、タンザニア側負担にて今回13名からなる政府代表団の来日が急遽決定されました。これは、マスタープランの実現に向けたタンザニア政府の熱意・コミットメントを表すものとも評価でき、セミナー後も参加者との間で活発な意見交換・情報交換がなされていました。

【画像】

加藤宏理事による開会挨拶の様子

【画像】

ダルエスサラーム都市交通分野における投資機会について説明するザチャリア・ンガニルワ教授