カイゼンの「これから」を議論する「アフリカカイゼン年次会合」を開催

2018年7月4日

概要

会議名:アフリカカイゼン年次会合
開催日:2018年7月2日(月)~4日(水)
共催:JICA、アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)、汎アフリカ生産性協会(PAPA)/南アフリカ生産性本部(PSA)
場所:ダーバン(南アフリカ)、aha Gateway Hotel, Umhlanga

主な参加者

会合にはアフリカ、アジア、中南米を含む20か国より政策立案者(大臣、次官等)、実務者(カイゼン普及コンサルタント、企業家)等約150名が参加しました。
参加者はJICAのプロジェクト関係者だけでなく、PAPAメンバー国や世銀、UNIDO等のドナー関係者、学者、トヨタ自動車等の民間企業と、多様な背景を持つ専門家も含まれ、貴重なネットワーキングの機会となりました。

背景・目的

生産性の向上、産業競争力の強化が課題のアフリカにおいて、日本の品質・生産性向上の手法「カイゼン」の需要が高まっています。JICAは2017年4月にNEPADと「アフリカ・カイゼン・イニシアティブ」を立ち上げ、カイゼンの普及を通じてアフリカの産業振興に取り組んでいます。
カイゼン年次会合は3日間の会合で基調講演、パネルディスカッション、企業視察、グループワークを行い、カイゼンを実施する政策的な意義、各国での知見、教訓を共有し、今後の活動方針を議論する場です。これまでにエチオピア(2016年)、ケニア(2017年)にて開催されていて、今回南アでの開催が第3回目に当たります。

内容

会合は「アフリカにおけるカイゼンの機会現在とこれから」をテーマとし、各プログラムで以下のような議論が行われました。

1.Kaizen and Improving Firm Capability for Innovation
アフリカではビジネス環境の改善や中所得層の拡大がみられる一方、製造業の衰退が課題となっています。PSAのCEO、モティバ氏はアフリカ諸国は生産性の向上に効果的に取り組む必要があり、カイゼンのように漸進的で参加型のアプローチが求められると主張しました。これを受け世界銀行のゴダール氏は、アフリカ企業がR&Dに投資しない(できない)のは経営資本が脆弱なためで、カイゼンは企業の経営資本を高めると主張し、Lean Instituteのノーマン教授はカイゼンのように地道な活動はニュースにならないが、企業が成長するには不可欠と論じました。会合冒頭で基調講演を行った東工大の長田名誉教授は、アフリカ諸国は企業の業績向上と顧客満足度向上のために、より戦略的にカイゼンを導入するべきと提案しました。

2.Kaizen and Corporate Cohesion
カイゼンは人間中心の活動であり、チームワーク、コミュニケーションを通じて労使関係の改善等、企業としての一体性(Corporate cohesion)を向上させる効果があると考えられています。アパルトヘイトを経験した南アでは、特に経営者と労働者間での信頼構築が課題となっていて、南アの経営コンサルタント、バーンズ氏はcorporate cohesionを実現するには経営者と労働者の間に尊重、信頼、共感が必要と話しました。同様に、カイゼンを通じて企業を再生させたK-Way(南アの衣料品メーカー)のフェアラム氏は、工場閉鎖の危機から脱却した軌跡及び労使関係の変化、従業員のモチベーション向上等の効果を紹介しました。エチオピアカイゼン機構(EKI)の元所長であるゲタフン氏は、エチオピアの繊維業にて従業員が企業内だけでなく家庭でもカイゼンを実践し始めた事例を紹介し、カイゼンが社会にも影響を与えうることを示唆しました。

3.企業視察
会合2日目は、南アフリカトヨタ自動車(TSAM)をはじめ、ダーバンに拠点を置く日系企業や現地企業の工場視察を実施しました。トヨタ自動車では本社の尾上TPS本部生産・物流領域長兼生産調査部長によるトヨタ生産方式(TPS)に関する講義も実施されました。病院など生産現場以外にも適用可能な手法であるとの説明を受け、参加者からは「非常に参考になった」との声が多く聞かれました。

4.各国アクションプラン
会合最終日には、カイゼン普及展開のための市場メカニズムや表彰制度に関するグループディスカッションを踏まえ、各国で今後1年間におけるアクションプランが発表されました。

今後、本会合で議論された内容を実現化していくために、JICAは関係各国や、NEPADをはじめとする関係各機関との議論を継続していく予定です。

資料

1. 発表資料

2. カイゼンハンドブック

会合では、2018年6月に完成した「カイゼンハンドブック」の発表も行われました。これは、カイゼンの普及展開のための人材育成や実践方法についてまとめた手引書となっていて、各国の政策決定者や実施機関が活用することを想定しています。

関連リンク

【画像】

参加者の集合写真

【画像】

パネルディスカッションの様子

【画像】

グループディスカッションの様子

【画像】

企業視察の様子(Toyota Tsusho South Africa)