2018年9月12日
国際協力機構(JICA)は9月12日(水)、JICA市ヶ谷ビル国際会議場にて「アルジェリア民主人民共和国投資環境セミナー」を開催しました(共催:駐日アルジェリア大使館、後援:外務省、独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)、日本経済団体連合会、国連工業開発機関(UNIDO)東京投資・技術移転促進事務所)。今回のセミナーのため、アルジェリアから産業・鉱業省メジュビ次官、同省ブアラバ戦略立案・調査・情報システム総局長、国家投資開発庁エウミシ投資促進局長、アルジェリア企業3社の社長が来日しました。アルジェリアに関心を有する民間企業や関係機関、アフリカ各国大使館等から175名が参加し、セミナー中、スピーチやプレゼンテーションに熱心に耳を傾ける姿が見られました。
アルジェリア代表団・駐日アルジェリア大使館・外務省・JICA集合写真
セミナー冒頭のJICA山田理事による開会挨拶では、これまでの日本の対アルジェリア協力の概要を紹介しました。続いて、外務省中東アフリカ局森野審議官からは、日本企業の対アルジェリア投資の加速、日アルジェリア官民対話がさらに深化することへの期待につき言及いただきました。駐日アルジェリア大使館ベンシェリフ特命全権大使は、今次のアルジェリア代表団との意見交換を通じ、日本企業のアルジェリア投資ポテンシャルへの理解が深まり、二国間関係が強化されることを期待すると述べられました。
産業・鉱業省メジュビ次官は、アルジェリアの豊富で優秀な人材、優位性のあるエネルギーコスト、欧州市場へのアクセス、整備されつつあるインフラ等のアルジェリアの投資ポテンシャルについて説明しました。また、アルジェリア政府は世界銀行とも協力して投資障壁の緩和に取り組んでおり、今後、日本との経済関係を強化していきたいと述べられました。
続いて、JICAが2017年6月から2018年3月にかけて実施した「アルジェリア国投資環境整備状況情報収集・確認調査」の調査団長を務めた新日本有限責任監査法人山田氏は、上記調査の結果概要を報告しました。この中で、アルジェリアの投資ポテンシャルや投資障壁、現在のアルジェリア政府の取り組みについて説明しました。また、アルジェリアでは、税制、通関、法人設立・登記、雇用、金融、産業政策、租税条約等においていくつか課題があるものの、アルジェリア政府として更なる投資環境整備に取り組んでいることも紹介されました。
国家投資開発庁エウミシ投資促進局長は、重点セクター(農業、工業、観光、再生可能エネルギー、ICT)の現状について紹介したうえで、現在アルジェリア政府が採用している様々な優遇措置について説明し、日本企業のさらなる投資を呼びかけました。
パネル・ディスカッションでは、JICA竹下中東・欧州部中東第一課長をモデレーターとし、日揮株式会社吉田常務執行役員、UNIDOケラール投資促進アドバイザー、Algeria Chemical Specialities(アルジェリア化学企業)ベンベトゥカ社長、JICA調査団山田団長が登壇し、アルジェリアの投資環境・障壁(行政手続きの遅延等)、治安情勢、日本企業とパートナーシップを組むに当たり期待する点、インフラ整備状況・需要について議論しました。続く質疑応答では、今後の港湾開発計画、アルジェリア政府機関間の役割分担について質問が出されました。アルジェリア代表団からは、行政手続きの迅速化に取り組む意向が示されたほか、製薬、石油製品、海水淡水化プラント等の各セクターの現況および今後のポテンシャルについて説明がなされました。ベンベトゥカ社長からは、日本企業とのパートナーシップに期待する点として、雇用創出、技術移転、収益性、対外輸出への貢献が挙げられると強調しました。
JICAでは、今後もアルジェリアの持続的な開発のため、投資環境改善を含む開発課題解決に向けて取り組んでいきます。また、世界各地において投資環境整備や民間連携事業を推進していくと同時に、今回のようなセミナー等の各種イベント等を通じて継続的に途上国にかかる情報発信を行い、民間企業とともに途上国の開発課題解決に貢献していきます。
JICA山田理事による開会挨拶
外務省中東アフリカ局森野参事官による挨拶
ベンシェリフ駐日アルジェリア大使による挨拶
アルジェリア産業・鉱業省メジュビ次官によるプレゼンテーション
JICA調査団山田氏によるプレゼンテーション
アルジェリア投資開発庁エウミシ投資促進局長によるプレゼンテーション
パネル・ディスカッションの様子
JICA坂本中東・欧州部長による閉会挨拶
セミナーの模様