アフリカのコメ生産、10年で倍増達成へ-アフリカ稲作振興のための共同体(CARD)関連会合の開催-

2018年10月5日

農村開発部

「アフリカ稲作振興のための共同体(CARD)」は、サブサハラ・アフリカのコメの生産量を10年間で倍増(1,400万トンから2,800万トン)することを目標に、2008年のTICAD IVの際に発足した日本発の国際イニシアティブです。JICAを含め計11の国際機関やNGO等により運営され、CARDに参加するアフリカ23ヵ国の国家稲作振興戦略の策定を支援し、各国の戦略に沿ってコメの増産支援を実施してきました。

CARDが2018年に目標年を迎えるにあたり、2018年10月2日から4日にかけて、アフリカのCARD対象国や運営機関の出席のもと、「第7回CARD本会合」が東京・市ヶ谷のJICA研究所国際会議場で開催されました。同会合では、CARD10年の成果の総括を行い、コメ生産量は2016年時点で2,611万トンまで増加し2018年には目標である2,800万トンを達成する見込みであることや、アフリカ各国にて計173件ものCARD関連プロジェクトが実施されてきたことが成果として確認されました。

しかしながら、アフリカにおける人口増加やコメ食の広がりを受け、現在もコメの需要が増え続けている状況であり、また、各国の国産米の競争力強化や民間セクターとの連携といった課題もあることから、同会合では2019年以降のCARDの取り組み継続について議論を行いました。その結果、CARDフェーズ2を2019年から開始すること、対象国を23か国から32か国へ拡大すること、2030年を目標年としてさらなるコメ生産量の倍増(2800万トンから5600万トン)を目標とすること、RICEアプローチ(Resilience, Industrialization, Competitiveness, Empowerment)を採用し倍増に至る道筋を重視すること、といったCARDフェーズ2の基本枠組みについて、関係者間で合意が得られました。

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CARD本会合の様子

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マダガスカル国による発表

CARD本会合に引き続き、JICAは10月5日、「CARDハイレベル会合」を都内ホテルで開催しました。この会合はTICAD閣僚会合のサイドイベントとして開催したもので、来日中のアフリカ各国の外交団、在京大使館、CARD対象国、関連ドナーや日本の民間企業など約180名が参加しました。

冒頭、北岡伸一 JICA理事長が挨拶を行い、CARD10年間における関係者の努力を称えるとともに、アフリカ各国のオーナーシップのもと、民間セクターや研究機関とのパートナーシップによる今後のアフリカ稲作振興に向けた展望を述べました。引き続き、来賓の日本AU友好議員連盟会長 逢沢一郎 衆議院議員からは、ご祝辞の中でCARDの取り組みへの高い評価、TICADにも貢献するCARDへのさらなる期待のお言葉を頂きました。また、CARD事務局長であるカリバタAGRA(アフリカ緑の革命のための同盟)総裁の基調講演では、CARDのこれまでの成果とCARDフェーズ2の枠組みが紹介され、アフリカ稲作分野へのさらなる投資について期待が述べられました。

その後行われたパネルディスカッションは、カリバタAGRA総裁、ランドリアリマナナ マダガスカル農業・畜産大臣、セック セネガル農業・農村施設大臣、大塚啓二郎 神戸大学大学院教授、成田有市 三井物産株式会社シニアプロジェクトマネージャーの5名にパネリストとしてご登壇頂き、加藤宏 JICA理事をモデレーターとして行いました。パネルディスカッションでは、CARD発足から10年間の成果や課題、今後のCARDの展開に向けて、生産性向上、民間セクターとの協調、気候変動への対応、農業機械化の推進等、各方面から様々な視点での議論が展開されました。

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カリバタAGRA総裁の基調講演

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逢沢一郎議員によるご祝辞

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パネルディスカッションの様子

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マダガスカル・セネガル両国農業大臣

JICAは、CARD10年間の成果・経験を踏まえ、アフリカのさらなる稲作振興、CARDフェーズ2の目標達成に向け、今後も支援を継続していきます。

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