2018年10月30日
国際協力機構(JICA)は、10月30日、「JICA開発大学院連携 第一回連絡協議会」を開催しました。会合には、全国から57大学113名に参加いただきました。
北岡理事長より以下を説明し、大学関係者、JICA双方の創意工夫による、より積極的な取り組みを呼びかけました。
続いて、政策研究大学院大学(田中明彦学長)、国際大学(伊丹敬之学長)、北海道大学(名和豊春総長)から、各大学としてのJICA開発大学院連携への取組みをご紹介いただきました。
JICA開発大学院連携に参画するにあたっては、リーダー育成を目的とした同大学のプログラム(GRIPS Global Governance Program:G-cube)について、その特徴を活かしつつ、日本やアジアの経験を普遍化・体系化した講義など開発学を重視した内容に改編して実施している。
今回のJICAとの連携を機に、研究科横断の全く新しい「日本型開発学プログラム(Japanese Development Program:JDP)」を立ち上げた。このプログラムを通じて日本の開発経験を伝えるとともに、欧米とは異なる日本の開発の論理をつくっていき、新潟から世界に英語で発信したい。
JICA開発大学院連携のプログラムの中に、過酷な自然環境を克服しながら短期間で開発した北海道ならではの経験を織り込んでいる。
また、世界トップレベルの研究教育拠点の構築及び北海道の地域創生の先導という大学の使命を踏まえながら、国際協力におけるJICAとの長年の連携の成果をSATREPS(注)やJICA開発大学院連携などを通じた研究教育に活かす、北海道大学アンバサダー/パートナー制度などによって構築した大学の国際的な人的ネットワークの活用・充実を進めるといった取り組みを行っている。
ご参加いただいた大学より、日本の開発経験に関する既存の情報を集約して大学間で共有・活用できるようにしてはどうかといった提案や、失敗も含めて体系化すべき、現代の日本が抱える最新の課題等も伝えるべきといった意見が出されるなど、参加者との間で活発な意見交換が行われました。
伊丹学長からは、「日本が途上国に伝えたいエキスは何かという観点から体系的に取りまとめるべき日本の開発経験を考えるべき。」、また、田中学長からは、「日本の事例を素材として活用し、文化の壁を越えて普遍的な理論を教えられるように我々も努力すべき。」といったご指摘もありました。北岡理事長からは、「過去の経験、将来を見据えた視点のいずれを伝えるべき開発経験の中心とするかは各大学で検討いただいて、良い講義を実施いただきたい。」と期待を述べました。
最後に、加藤宏JICA理事より、大学という重要なパートナーとJICA事業を有機的に結び付けて総合力を出す、さらにJICAの各スキームとの有機的連携を強化してJICA開発大学院連携をJICA事業の中核として位置付け、発展させていくという方針を示し、ご参加大学のご理解とご協力を求めました。
(注)地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(Science and Technology Research Partnership for Sustainable Development:SATREPS)。環境・エネルギー、生物資源、防災および感染症等の地球規模課題の解決を視野に、これら諸課題の解決に繋がる新たな知見の獲得及びその成果の将来的な社会実装(具体的な研究成果の社会還元)を目指し、開発途上国の社会的ニーズをもとに我が国の研究機関と開発途上国の研究機関とが協力して技術協力プロジェクトの枠組みにより国際共同研究を推進するもの。
政策研究大学院大学 田中学長
国際大学 伊丹学長
TV会議を通じてご参加下さった北海道大学 名和総長
全体討議でご参加大学からいただいた意見に回答する北岡理事長
全体討議の様子