2018年12月6日
国際協力機構(JICA)は、ウズベキスタン日本センター(UJC)と共催で、12月6日(木)、東京グリーンパレスにて「ウズベキスタン・ビジネス交流セミナー -現地JETRO事務所の講演・現地優良企業3社のプレゼンを通じて同国のビジネスの最新状況をお伝えします-」を開催しました(協力:駐日ウズベキスタン共和国大使館、独立行政法人 日本貿易振興機構(JETRO)、後援:一般社団法人ロシアNIS貿易会(ROTOBO)、国際連合工業開発機関(UNIDO)東京投資・技術移転促進事務所)。同セミナーには、ウズベキスタン共和国(以後ウ国という。)とのビジネスをしている、もしくは検討している民間企業や関係機関等から、約100名が参加し、ウ国に対する高い関心が示されました。また、セミナー後には、名刺交換会・個別面談も開催され、ウ国企業経営者を中心に活発な意見が交わされました。
冒頭、駐日ウズベキスタン共和国ファジロフ・ガイラット特命全権大使による開会祝辞がありました。2016年12月のミルジヨエフ大統領就任以降、海外からの投資を促進するべく多くの改革(1)為替自由化、2)手続き簡素化、3)汚職防止等)が進んでいること、Doing Business(世界銀行が発表しているビジネス環境のランキング)では2012年の90位以下から2017年には74位と大幅に順位を上げてきていることに触れ、ウズベキスタン日本センターが過去2000年以降1万人を超えるビジネス界の人材育成に謝意を表明するとともに、日ウのビジネス交流が更に拡大・深化し、日本からの投資が増加することに期待する旨が述べられました。
第一部では、(1)JETROタシケント事務所下社学所長、(2)JICA東・中央アジア部藤谷浩至部長、(3)UJC高田裕彦共同所長、(4)UJC藤田忍講師より、ウ国の政治・経済・ビジネス環境を踏まえたビジネス実施上の現状と課題を踏まえ、JETRO/JICA/UJCとしての取り組みや日本企業に対する支援内容等について発表がありました。政権交代後のビジネス環境の改善には著しいものがあり、中央アジアという欧州・ロシア・中国・中東/南アジアに囲まれた地政学的な重要な地域において今後のウ国の成長に対する期待が表明される一方で、二重内陸国と経済インフラの脆弱性による高い物流コストや、産業人材の不足(企業経営者のマインドセット含め)等の課題があることが確認されました。
第二部では、UJCが実施するビジネスコースProfessional Management Program(PMP)修了生でウズベキスタン企業経営者3名((1)ダダホジャエヴ・アブロール社長、(2)ベクナザロヴ・シェルゾッド社長、(3)アフメドヴ・シェルゾッド社長)からの発表がありました。(1)ダダホジャエヴ社長は、1)SAMO PRODUKT社(食料品製造業)、2)Art Mebel社(家具製造業)、3)Olimxon Global社(家畜飼料)という3つの企業を経営しており、既に日本との関係を構築している1)に加えて、3)においても今次来日時に日本でのビジネスパートナー発掘が進んでいることが共有され、更なる日本企業との関係拡大・深化に対する期待を表明しました。(2)ベクナザロヴ社長は、Alvon社(アパレル系大規模商店)、Yasukanamu社(被服縫製・販売業)を経営しており、(3)アフメドヴ社長は、ROUND ROOFS社(被服縫製・販売業、被服縫製機器輸入販売業)を経営し、日本製機械を導入しウ国の優良な綿花を使った洋服を製造していることが紹介されました。両社とも今後は繊維も含めた日本への輸出の拡大と、逆に日本のからハイテク生地やアパレルブランドの輸入開始に対する期待を表明しました。
質疑応答セッションでは、第一部では、特に物流の現状、気候の特性等について意見が交わされ、第二部では、ウズベキスタンが他国に比べて秀でている要素や日本企業と組みたい理由等について質問がありました。第二部の質問に対して、3企業経営者からは、市場としての有望性(約7,000万人の中央アジア地域における地理的中心であるため市場アクセスへの窓口となり得ること、その中でも最大規模の3,000万人を超える若年層が多数を占める人口ボーナス期にある市場規模)、親日的であること、安価な労働力(約1000ドル)、安価な電力コスト(約0.25米ドル/キロワット時)に加えて、良品質のフルーツや綿花を活用したオーガニックな商品はユニークであり国際的競争力があることが紹介されました。また日本企業と組みたい理由として、取扱い分野にて日本市場にポテンシャルを感じている、良質な日本製品は少ないウ国で今後事業展開が期待できる、といった考えが示されました。
JICAでは、日本センター所在国(カンボジア、ベトナム、ミャンマー、ラオス、モンゴル、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタン(注)、ウクライナ(注))を中心に、日本センター受講生や修了生の来日の機会にあわせ、今回のような現地ビジネス情報共有やビジネス交流促進機会を提供していく予定です。
(注)JICA技術協力プロジェクトによる支援は、カザフスタンは2012年に、ウクライナは2011年に終了済。
ファジロフ特命全権大使開会祝辞
JICA藤谷部長開会挨拶
第一部質疑応答
第二部質疑応答