2018年12月19日
イベント名:第7回アフリカ開発会議(TICAD 7)プレイベント
水の防衛隊10周年記念フォーラム
アフリカに安全な水と衛生を!現地の人々と歩む日本のチカラ
開催日:2018年12月19日(水)
会場:JICA 市ヶ谷ビル2階 国際会議場
主催:JICA
来場者数:106名
アフリカに初めて水の防衛隊が派遣されてから2018年で10周年を迎えました。今般、水の防衛隊のこれまでの活動成果を振り返るとともに今後の方向性を議論することを目的とし、来たる2019年8月に開催される第7回アフリカ開発会議(TICAD 7)のプレイベントとして本フォーラムを開催しました。
水の防衛隊は、2008年5月に開催された第4回アフリカ開発会議(TICAD 4)で、当時の福田康夫総理大臣が表明した貢献策で、青年海外協力隊を中心にアフリカにおける安全な水アクセス向上や衛生状態の改善等に資する活動をしています。これまでに約260名の隊員が派遣されています。
フォーラム開会に先立ち、TICAD 4で水の防衛隊について表明された福田康夫元総理大臣からの祝電が紹介されました。
フォーラム前半では、イントロダクションとして水の防衛隊の10年の歩みを振り返りました。水分野にとどまらず、水と密接な関係にある衛生分野と合わせて注力してきたことがデータ、事例とともに会場に共有されました。その後、元水の防衛隊の櫻井慎也氏(秋田県庁 主事)、水・衛生や国際協力を専門とする大阪大学人間科学研究科共生学系国際協力学准教授の杉田映理氏より基調講演がありました。
櫻井氏による基調講演では、水の防衛隊時代の活動・成果・課題等を具体的にお話しいただくとともに、帰国後に就職された秋田県庁での業務において水の防衛隊での経験が活かされているという日本社会への還元についてご紹介いただきました。杉田氏による基調講演では、水・衛生の問題が貧困削減、教育、ジェンダーなど多くの開発課題と深く関係している重要な問題であること、水の防衛隊は幅広い職種を設け水・衛生に関する多様な支援ニーズに応えてきたこと、SDGs達成に向けて今後ますます水・衛生分野のトップドナーである日本と水の防衛隊が果たす役割が重要となること、などについてご説明いただきました。
フォーラム後半のパネルディスカッションでは、モデレーターとして引き続き杉田氏に登壇いただき、パネリストとして櫻井氏に加え、元水の防衛隊の中元緑氏(熊本県合志市役所産業振興部農政課 主事)、認定NPO法人ウォーターエイドジャパン事務局長の高橋郁氏、株式会社アースアンドヒューマンコーポレーション代表取締役の深井善雄氏、水の防衛隊の派遣前の研修にご協力いただいているNPO法人自然塾寺子屋理事長の矢島亮一氏に登壇いただきました。「教育・保健・農業等、セクターを超えたマルチセクトラルなアプローチが必要となる」「草の根の視点を中央政府に伝え、その国の政策に反映させる」といった水・衛生分野の貢献における今後の課題を踏まえ、水の防衛隊としてどのように活動していくかが論点とされ、活発な議論が為されました。
マルチセクトラルなアプローチについては、水の防衛隊の経験の対外的な発信とそこから生まれる多様な団体との連携を推進していくこと、水を中心としたマルチセクトラルな活動により生活改善を図ってきた日本の経験を活用していくこと等が議論されました。
国の政策への草の根の視点の反映については、マスメディアやJICAプロジェクトに従事するコンサルタントと連携していくこと、住民組織等の地域のステークホルダーの存在を踏まえ、派遣地域において施策を推進する上での水の防衛隊の理想的な関わり方を模索していくこと等が議論されました。
来場者からも、水の防衛隊の経験がその後のキャリアにどのように生かされるかや、今後求められる隊員の職種について等、様々な視点から質問・意見が出されました。
フォーラムを通して、今後の水の防衛隊の在り方や活動の検討に資する有益な機会となりました。
福田康夫元総理大臣からいただいた祝電。
基調講演を行う櫻井氏。
基調講演を行う杉田氏。
パネルディスカッションの様子。水の防衛隊の今後の展開について活発な議論が行われた。
全来場者による記念撮影。
パネリスト、登壇者等による記念撮影。