2019年2月23日
アウン・サン・スーチー国家顧問による基調講演
2月21日(木)~23日(土)、ミャンマー国ラカイン州南部・タンドウェにてラカイン州政府及びミャンマー投資委員会(MIC)主催、国際協力機構(JICA)、日本貿易振興機構(JETRO)共催による「ラカイン州投資フェア」が開催され、同州の持つ投資ポテンシャルが議論されました。22日(金)に開催されたメインイベントであるセミナーには、ミャンマー政府閣僚、日本を含むミャンマー国内外の民間企業や国際機関、公的機関関係者ら約600名以上が参加し、同州の投資機会に対する高い関心が示されました。
冒頭、アウン・サン・スーチー国家最高顧問が基調講演を行いました。スーチー氏は、ラカイン州は州北部がネガティブな意味で注目を浴びがちであるが、平和と発展に向けた同州の大きな可能性に目を向け、投資と経済発展を通してラカイン州の持続可能な開発を実現するために、官民双方の取り組みが必要であると強く呼びかけました。
また開会に際しタウン・トゥン ミャンマー投資委員会議長兼投資・対外経済大臣、ニー・プーラカイン州知事からは、戦略的な場所に位置し、天然資源、水産、観光のポテンシャルを持つラカインの発展のための投資の重要性が呼びかけられました。また丸山日本国特命全権大使はミャンマー語でスピーチを行い、様々な課題を抱えるラカイン州の発展のため、全力で支援を行う旨を表明しました。
続いて、本投資フェアに先立ち行われ、会場で報告書が配布された「ラカイン州投資機会調査」の要点が発表され、特に(1)水産/畜産、(2)農業、(3)ホテル・観光業のポテンシャルについて説明がありました。
午後には3つのパネルディスカッションが行われました。1つ目は「政府の政策と優先セクター」と題され、主要関係省庁5省庁(投資・対外経済省投資企業管理局、畜水産省水産局、ミャンマー石油・ガス公社、工業省工業監督検査局、ホテル・観光省ホテル・観光局)より、ラカイン州への投資促進に関連する政府政策、方針、取り組みについての説明がありました。続いて「ラカイン州におけるビジネスと責任ある投資」と題された2つ目のパネルディスカッションには、複数の日系企業や日本と関連のある現地企業の代表者が登壇し、ミャンマーやラカイン州で実施中、あるいは検討中の事業内容や、現地の経済発展や社会・環境的配慮への考えが参加者と共有されました。最後のパネルディスカッションは「ラカイン州の可能性」というテーマで、政府側よりラカイン州のインフラ関連投資機会が紹介された他、ラカイン州出身の起業家からは資源のみならずラカイン州住民やコミュニティの重要性・可能性やインクルーシブなビジネスの必要性について活発な議論が行われました。
約8時間に亘る投資フェアはJICAミャンマー事務所唐澤所長およびラカイン州政府財務・歳入・計画経済大臣による閉会挨拶で締めくくられ、同州の経済発展が平和と安定のためにも重要であることが改めて確認されました。本投資フェアではこれらの講演やパネルディスカッションに加え、今後事業の具体化が進められていく「関心表明(Expression of Interest)」が多く署名されました。その他、政府機関や民間企業のブースやビジネスマッチングの場も提供され、有望セクターに関する投資について関係者が意見・情報交換を行う等、具体的な投資やビジネスの実現を促進する機会ともなりました。
また翌日、23日(土)には希望者が参加する形で、タンドウェ周辺の漁村や水産加工会社、観光開発地等への視察が行われました。日本を含むミャンマー国内外の民間企業関係者も参加し、実際の投資可能性を探る機会となりました。
JICAでは、これまでもミャンマーにおいて各地域(州・管区)への投資を促進すべく、地方での投資フェアを過去4回(マンダレー管区、シャン州、カイン州、エーヤワディー州)実施支援してきています。今後も同様の取組みや投資・産業振興分野の協力を継続し、ミャンマーの経済発展に寄与するだけでなく、現地への進出を検討中あるいは進出済の企業の参考となる投資関連情報の提供を行っていきます。
会場の様子
政府機関、民間企業ブース