2019年3月1日
ウガンダにおけるモバイルマネーサービス
2019年3月1日(金)、JICA農村開発部主催による「基礎情報収集・確認調査『途上国での農業金融におけるFinTechの活用に関する調査』報告会」がJICA本部で開催されました。中継したJICA海外拠点からの参加も含め、民間企業、NGO/NPO法人、開発コンサルタント、国連機関、大学生ら約60名の出席があり、農業金融におけるFinTech(フィンテック)の活用に対する高い関心が示されました。
開発途上国の多くでは人口の多くが農業に従事し、貧困層の大半が農村部に居住しています。このため、開発途上国の貧困削減や経済成長に農業が果たす役割は大きいものがあります。しかし、農村部において金融サービスの利用が限られていることが、安定的な成長を阻害する一つの要因となっているとされています。そのような中、FinTechと称されるICT技術を活用した新たな金融サービスは、開発途上国、特に銀行口座を持たない小規模農家等の金融アクセスを改善する可能性を秘め、注目を集めています。
本報告会では、「政策・法規制」、「インフラ」、「(サービス)提供者」、「利用者」の4つの観点から、ウガンダ、ルワンダ、エチオピアの農村地域でのフィンテックの現状を報告しました。
続いて、農家の天候インデックス型農業保険に対するニーズについて、コンジョイント実験法と機械学習の手法も用いて解析した結果として、堅調な保険需要が存在すること、「薄いが幅広い保険」への需要があること、男性・保険の知識を持つ者からの強い需要がある、一方で携帯電話を活用した保険加入は比較的貧しい世帯や女性に受け入れられやすいとことが明らかになりました。
最後に、既存のフィンテック企業への経営指南、同企業への資金供与、データ解析やブロックチェーン技術、非接触無線通信(NFC)カードや生体認証のデバイスおよびシステムなどに、本邦企業の参入可能性が認められることを紹介しました。
質疑応答では、「既存のフィンテックサービスが、自立的、永続的にビジネスとして回るようになっているのか」、「アフリカで電力小売りの可能性があるか」、「ケニアのM-PESAと呼ばれるモバイルマネーは買い物の支払いにも使用されているか」、「アプリ開発などにおいて本邦中小企業が参入する可能性はあるか」等、たくさんの質問が寄せられました。また閉会後も参加者間の情報交換が熱心に行われました。
熱心に聞き入る参加者で埋まったフロア