開発ワーキンググループ(DWG)防災サイドイベント

2019年3月13日

2019年3月13日(水)にJICA地球環境部 防災グループは、G20の開発ワーキンググループ(DWG)会合の防災サイドイベント「防災アジェンダの達成に向けた展望」を外務省、UNDP、UNISDR(国連国際防災戦略事務局)(現:UNDRR)と共催しました。

このサイドイベントでは、2015年3月に開催された第3回国連防災世界会議で採択された仙台防災枠組2015-2030、また同年に採択されたSDGs、パリ協定の一貫性を確認し、これらの防災に関するアジェンダを達成するためにG20関係国・国際機関が取り組むべき事項が議論されました。防災における多様な取り組み(包摂性の配慮等)及び防災への事前投資とより良い復興の重要性が確認され、議長サマリーとして取り纏められました。この内容はG20大阪サミット(2019年6月)の首脳宣言の防災パラのキーメッセージとして活用見込みであり、更に開催が予定される国連防災グローバル・プラットフォーム(2019年5月)やTICAD7(2019年8月)等において、今後の国際的な防災の取り組みに係る議論に繋げていくことが期待されています。

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JICAの防災協力について発表する武藤地球環境部長とモデレーターを務める竹谷上席国際協力専門員

本サイドイベントは、セッション1「防災における多様な取り組み」、セッション2「防災への事前投資・より良い復興の重要性」、そしてJICAが主催したセッション3「仙台防災枠組ターゲット(e)の課題と解決策」という三部構成となっており、JICAからは武藤地球環境部長がパネリストとして、また竹谷上席国際協力専門員がモデレーターとして登壇したほか、JICAの防災協力のカウンターパートであるインドネシア国家防災庁(BNPB)次官、エクアドル国家危機管理・緊急事態機関(SNGRE)国際部長、ベトナム防災総局(VNDMA)国際次長等が登壇し、JICAの支援や各機関の取り組み事例などについてプレゼンを行いました。

セッション3は、仙台防災枠組に掲げられた7つのグローバルターゲットの一つであるターゲット(e)「2020年までに、国家・地方の防災戦略を有する国家数を大幅に増やす」を主題とし、各パネリストが考えるターゲット(e)を達成するために必要なリーダーシップ、キャパシティ、予算の3点の課題について活発な議論が行われました。

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ターゲット(e)の課題と解決策について議論する竹谷上席国際協力専門員とアギラール国際部長

エクアドル国家危機管理・緊急事態機関(SNGRE)のアギラール国際部長からは、同国の防災計画の概要とJICA技術協力プロジェクトでの取り組みについて紹介がありました。エクアドルでは以前から市レベルの「防災アジェンダ」(日本の防災計画に相当)はあったのですが、実質の内容は発災時の対応に関するものだけでした。2016年に発生した大地震を機に開始したJICA技術協力プロジェクトでは、特に地震と津波リスクの高い3市で日本人専門家の知見を取り入れながら地域のリスクを分析し、政策・優先事項や事前投資計画を検討の上で「地震・津波防災アジェンダ」を策定。SNGREはあわせて「防災計画策定ガイドライン」を作成しており、今後は先行する3市とともに、適切な要素を盛り込んだ防災計画策定の取り組みを国内の他市にも広げていく考えです。

この会議の数日前に、エクアドル中・南部では集中豪雨による大洪水が発生しました。アギラール氏は、「洪水・土砂災害についてもきちんとリスクを把握し、抜本的な防災計画を真剣に考える必要がある。今回の会議への参加は視察も含め、新しい視界が開けるとても有意義な機会だった」と語っていました。技術協力プロジェクトで策定したガイドラインの要素は他の災害種の防災計画においても共通するので、ターゲット(e)のコンセプトがこのような包括的な防災行政の強化、事前投資の促進につながっていくことが期待されます。

本イベントを通して、各国の登壇者を含む参加者に対して、仙台防災枠組ターゲット(e)、特に災害リスクを削減するための防災への事前投資の根拠となる「地方防災計画」策定の重要性と、計画策定後の事前投資の重要性について、改めて強調することが出来ました。

JICA地球環境部では、引き続き防災グローバル・プラットフォーム等の国際会議の機会を捉え、仙台防災枠組の達成に向けた取り組みについて発信していきたいと考えています。

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