JICA食と農の協働プラットフォーム(JiPFA)設立記念フォーラム

2019年4月25日

概要

会議名:「JICA食と農の協働プラットフォーム(JiPFA)設立記念フォーラム」
開催日:2019年4月25日(木)
主催:独立行政法人 国際協力機構(JICA)
後援:外務省、農林水産省
協力:グローバル・フードバリューチェーン(GFVC)推進官民協議会、日本農業新聞、国際開発ジャーナル社
場所:JICA市ヶ谷ビル 国際会議場

主な参加者

登壇者(敬称略)

鈴木憲和(外務大臣政務官)、越川和彦(JICA副理事長)

基調講演

岩佐大輝(株式会社GRA 代表取締役社長)、鈴木雅剛(株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役副社長)、小谷あゆみ(フリーアナウンサー、農業ジャーナリスト)、緒方一夫(九州大学・副学長/熱帯農学研究センター・センター長)

パネルディスカッション

緒方大造(日本農業新聞論説委員)、大橋康隆(カゴメ株式会社国際事業本部企画管理部課長)、高田直幸(カタギ食品株式会社取締役社長)、板垣啓四郎(東京農業大学教授・グローバル・フードバリューチェーン推進官民協議会代表)、井関ふみこ(ササカワ・アフリカ財団常務理事)、加藤宏(JICA理事)

参加者

約200名

背景・目的

2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向け、JICAは農業・農村開発分野で、「グローバル・フードバリューチェーン戦略」に基づくフードバリューチェーンの強化、市場志向型農業の推進や稲作振興、アフリカ地域を中心とした栄養改善、自然災害に対する強靭性の強化などに取り組んでいます。

2019年4月JICAは「JICA食と農の協働プラットフォーム(通称:JiPFA)」を立ち上げ、SDGsの達成に向けた途上国及び日本の課題解決のため、農林水産、食料・栄養分野における関係省庁、政府機関、大学/研究機関、民間企業/業界団体、市民社会、国際機関駐日事務所といった本邦関係者との情報共有や共同活動を促進していくこととしました。実施にあたってはグローバル・フードバリューチェーン(GFVC)推進官民協議会とも連携していきます。

本JiPFA設立記念フォーラムは、JiPFAの概要や活動計画について紹介し、更なる産官学連携に向けた意見交換やネットワーキングを進めることを目的に開催されました。

内容

  1. フォーラムの冒頭では、越川JICA副理事長の開会あいさつ、外務省鈴木政務官の祝辞があり、農業は世界の安定に資するものでありJiPFAが途上国のさまざまな農業課題の解決に向けた有意義な場となることへの期待が述べられました。
  2. 基調講演では、途上国の食と農に取り組む民間企業の挑戦と課題として、イチゴを通じた日本技術の途上国展開や復興地東北からの世界への発信の事例((株)GRA岩佐社長)、ソーシャルビジネスのプラットフォーム設立を通じた途上国展開の事例((株)ボーダレスジャパン鈴木副社長)が紹介されました。お二人からは、海外展開での課題でもあり、JiPFAに期待することとして、1)海外展開における苦労(知見)やトラブル対応の共有、2)技術移転と知財流出防止のバランスのとり方、3)バックオフィス機能、4)ビジネスモデルやノウハウの共有などがあげられました。
    続いて、農業ジャーナリスト小谷氏からは「農業文化大国」日本の知見の途上国への貢献の可能性が述べられ、また、農学知的支援ネットワーク(JISNAS)代表の緒方九州大学副学長からは途上国の農業開発への大学の知的貢献と連携への期待が述べられました。
  3. 次に宍戸JICA農村開発部長より、産官学の各種協働活動の促進に向けてJICAの各スキームをフル活用すべくJiPFAの積極的な利用を呼びかけました。

JiPFA概要(JiPFA:JICA Platform for Food and Agriculture)

目的

SDGs達成に向けて、国内の産官学関係者が途上国及び日本の課題解決のための活動を促進。また、情報や経験の共有等を通じて、同ネットワークの中から、様々な『共同活動』を産み出す。

対象

開発途上国の農林水産及び食料・栄養分野に関係する関係省庁、政府機関、大学/研究機関、民間企業/業界団体、市民社会、国際機関など。

活動内容

1)情報・経験の共有、2)各種勉強会、イベント等の開催、3)共同活動(共同研究・技術開発、民間企業等の海外展開、人材育成等)の企画・支援

分科会の設置

1)ASEAN・FVC、2)インドネシア、3)ミャンマー、4)中南米・FVC、5)アフリカ・FVC、6)アフリカ稲作(CARD)、7)スマートフードチェーン、8)農業機械、9)ゴマ、10)畜産、11)水産、12)人材育成、13)日本の地方創生

  1. パネルディスカッションでは、まず、(株)カゴメ大橋課長や(株)カタギ食品高田社長からは、それぞれの事業(トマト、ゴマ)で経験した課題の共有がありました。本邦企業の海外進出には、同じ国・地域で、同業他社・異業他社パートナーと連携することが重要、農業生産性向上のためには各国の政府機関と協力しているJICA事業とも連携していきたいなどの発言がありました。
    グローバルフードバリューチェーン推進官民協議会板垣代表(東京農業大学教授)からは、産官学による協働プラットフォームの重点事項として、1)インフラの整備(制度インフラの整備を含む)、2)関連情報に対するアクセスの改善、3)貿易・投資規制の緩和と撤廃、4)高付加価値産地・食品工業団地の設置、コールドチェーン、5)現地ニーズに即した技術の開発導入と資金の提供、6)生産性の向上・効率性の向上、7)多様な商品づくりと販売戦略、ブランド化、8)人材の育成、9)「連結可能性」、「グローバル・イシュー」への取組が挙げられました。とくに協働プラットフォームで目指すべき事項は、1)教育(人づくり)、2)資源の再利用、3)環境保全技術の開発、4)知識・情報ネットワーキング、5)新たな制度の構築、6)「産」から「官」「学」への働きかけが挙げられ、All Japanで取組むことが重要との指摘がありました。
    ササカワ・アフリカ財団の井関常務理事は、アフリカでの農業人材育成を推進してきた経験から各団体間での協働の重要性を指摘しました。加藤JICA理事からは、近年JICAが日本企業の海外進出、国内の人材不足、大学の国際化を支援する取組を強化していること、他方で各組織だけでは制度や技術面で困難な面が多いので、公的機関であるJICAを積極的に活用してほしい旨発言しました。
    最後に日本農業新聞の緒方論説委員が、グローバル化に伴う課題で最も不利益を受けている家族農家は途上国に集中しているが、こうした問題の解決は先進国にも共通の課題であること、そのためにJiPFAが果たすべき役割は大きく、より多くの知見を集結すべく各会員の積極的な参加が期待されると総括し、閉会しました。

2019年5月現在、JiPFAには130団体・個人が参加登録しています。皆様のご参加をお待ちしております。

JiPFAについて、詳しくは以下のリンクをご参照ください。

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開会挨拶をする越川JICA副理事長

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JiPFA設立に係る鈴木外務大臣政務官の関係者への祝辞

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基調講演その1(株式会社GRA代表・岩佐氏)

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基調講演その2(株式会社ボーダレス・ジャパン・鈴木氏)

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基調講演その3(農業ジャーナリスト・小谷氏)

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基調講演その4(九州大学副学長/熱帯農学研究センター長・緒方氏)

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JiPFAの概要、活動計画を説明する宍戸JICA農村開発部長

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パネルディスカッションに登壇されたパネリストの方々